戦闘シーンがリアルすぎる『ブラザーフッド』に感化され、戦争映画を求む。
で、ツタヤより、
1999年、インド・パキスタン国境での熱い戦火が昂じた印パ紛争のカルギル戦争を描いたインド映画を借りる。
製作はインド側だけあって、
パキスタン軍は侵入者(悪)、
之レに迎撃するインド軍は国土防衛者(正義)、
と明確な色づけ。
火器は機関砲や迫撃砲程度。航空機での爆撃はなく、ハリウッドに比類する韓国映画より、格段に戦闘シーンの迫力は下ル。
戦場たるカルギルは西ヒマラヤの山襞、標高3千メートルを超える高地での戦闘で、戦闘ヘリも気流の関係で飛べそうにない極所。
(ヘリで負傷兵を搬送。インド軍に対地攻撃ヘリを運用する戦闘能力の有無を語るほど軍事オタクではないので…)
謂わばトラックで富士山頂へ移動補給するのだ。
そう、山岳戦だから、自ら自動小銃をかついだ歩兵が主役にならざるを得ない。

拙者はかつて、カルギルが在るカシミールの西方ラッダク地方を訪れたが、
いきなり航空機で3500メートルの高地に到着したものだから、
ブルブル寒気に襲われ、吐き気をもよおし、一晩中トイレでゲロゲロ吐きまり、高山病で倒れた。
幸い翌日には復調したが、そんな厳地でもインドの駐留兵たちは朝の駆け足行軍で躰を鍛錬していた。
よくも、まあ、兵士たちは重い背嚢を担いで吶喊できるものである。
ともあれ、
ギザギザした山塊の高所を占拠したパキスタン軍の掩体壕へ、
国土防衛の祖国愛に燃えるインド軍兵士たちが、
さながら日本軍兵士のごとく銃剣突撃!
「女神 カーリー」と咆哮突撃が、インド映画らしさである。
かつての支配者イギリス軍の精神を継承してか、
高貴な者ほど先じて勇気を示せと、
中隊長クラスの指揮官がパキスタン軍陣地へ猛進し、
銃弾を受け、倒れていく。
すると、インド映画要素たっぷりに、悲壮なミュージックとともに、最愛なる妻や婚約者の回想シーンが必ずフラッシュバック。
もう、インド人なら涙とハンカチなしに視ることはできまい。

結果的にパキスタン軍を停戦ラインの向こう側に追い出して、インド軍は勝利を収める。
母なるインドの大地は護られたのだ。

ただし、西洋人がアジア人の相貌を区別できないように、
日本人の拙者はインド人俳優が同じ顔に見えてしまうのが難。