大徳寺方丈庭園は方丈建築らしく南面す。


方丈 南庭


正門は聚楽第遺構の唐門は復元修復で綺羅ギラしくて白砂の苦界にやや浮いている感あり。
唐門は移築だからやむを得ないにしても、
南庭中央、室中の間の目前には、まるで銀閣寺の銀沙灘にそびえる向月台のように白山の盛り砂が双子になって、これがかえって中空を阻害しているのでは危ぶんでしまうほど、南庭には枯山水と謂える石組はなく、なかなか庭素人には理解しがたい高尚な庭である。




一方、「七五三の庭」と呼ばれる東庭は、
二段となった刈込籬(かりこみまがき)を背にして、こじんまりとした石組どもが矜持を漂わせて、こちらは「うむ、なるほど…」と長息を吐いてしまう。


大徳寺 東庭


されど、かつての比叡山の借景はもう望めないのが、近代都市京都の難点だ。

参考文献は、『京の庭師と歩く 京・近江・大和の庭園』別冊太陽