加瀬先生はバッグを脇に挟んで、トレイを持って私の席に移動してきた。
「久しぶりー。」
って、そりゃそうだ。
卒業式に挨拶してから2年近くたってるよ。
「先生どうして私の携帯知ってんの?」
「手紙に書いてあったし。」
しまった。すっかり忘れてたよ。自分で教えてたわ。
久しぶりに会った先生は心なし疲れたっぽい顔で、元々痩せてたけど更にガリっぽくなちゃってて
「先生、体大丈夫?なんか思いっきり疲れてるっぽいよ?」
思わず心配しちゃいました。
だって頬なんてコケコケなんだもん。
「3年担任だしなぁ…まぁ…色々あってさ。それにしても君は元気そうに育ってるね。」
テメーどこ見てんだ!っていうか育ったんじゃなくて夏太りだよっ!
「何?古文?マックで勉強してんだ。変なの。」
教師に勉強してて褒められこそすれ変呼ばわりはないだろう。
「今から塾なの。これ塾の課題。」
「そんなん家でしてこいよ。あ、ここ間違ってるよ。」
古文苦手なんだもん。千年も前の文章読んでも意味わからんし感動もせん。
それはただ私に文化的素養がないだけですね。
単純に言えばバカってことだ。
それからノート添削されまくり。
ってこれ今から塾でされることなんですけど?
「せんせー、こんな真っ赤なの塾持ってけないじゃん。」
ノートにガフッって感じで突っ伏してたら、いきなりつむじにグリグリ指が…
何すんですか!って先生こんなにエキセントリックなことする人だっけ?
「じゃぁ、塾さぼっちゃえば?」
「へ?」
「そしてどっか遊びに行こうよ。」
マジっすか!?それって教育者としてどうよ?
「いいですけど…先生それって何て言うか知ってますか?」
「ナンパ?」
分かってればいいんだけどね。
制服じゃないし、ま、いっか。
流石に元担任だったら変なことはしないだろうし。
そんな甘い考えでついていって、
セックスとかされちゃうのかなーなんて頭のどこかで考えながら、
実はもっと面倒なことに巻き込まれつつあるあることに微塵も気づいていなかった私なのでした。