ある１月のこと、
親友がわざわざ地元から
私が住む大阪まで遊びに来てくれて、
さらにそこから
金沢に旅行しようということになった。
親友が大阪に来た日は
さらっと大阪観光をし、
私の家に電車で帰っているとき……
めっちゃ雪が降ってきた。
「あ、雪が降ってきた～」
の一言では済まないくらい降ってきた。
実はこの日、
この年一番の寒波がやってきていた。
しかもその寒波は数日
日本に滞在する予報だった。
だというのに
明日は金沢に旅立たなくてはいけない。
まず心配だったのは
電車が動くのか？
である。
金沢に行く途中に
JR湖西線のルートを通ると思うのだが、
ここが一番の懸念だった。
関西に住んでいる人は
ピンと来るかもしれないが、
冬の湖西線はよく止まる。
湖西線の「湖」とは
琵琶湖のことだが、
琵琶湖の西側は
雪が積もりやすい地域なんだと思う。
だが、今回私たちが乗るのは
JRの在来線ではなく、
大阪駅から出る
特急のサンダーバード号だった。
だから、
「多分大丈夫なのではないか」
と淡い期待を抱いていた。
当日、
起きてすぐ運行情報を確認すると
ちゃんと動いていることが分かった。
やはり私の勘は当たった。
ちなみにこの
「雪なら在来線はダメだろうけど
特急ならイケる」
という予想に特に根拠はなかった。
サンダーバード号に乗り、
京都に入り、滋賀に入って、
湖西線のあたりを通り始めた頃……
景色が一変した。
突然、雪景色になった。
普段大阪に住んでいると見ないくらい
山が雪に覆われていたので
せっせと写真を撮ったくらいだ。
やはりその年一番の
寒波というのはすごい。
ちゃんとサンダーバードは
金沢に向かって動き出したので、
もう今年一番の寒波について
私は何も心配していなかった。
しかし、
金沢に着いてから
寒波が大問題になった。
積もっている。
朝、大阪を出たときには
積もっていなかったのに。
よくよく考えてみると、
大阪は冬でも雪が積もることは
あまりないが、
金沢は日本海側だ。
めちゃくちゃ雪が降る地域ではないか。
どこを歩いても雪が積もっていた。
そして悲しい出来事が起こった。
私は少し古いブーツを履いていて、
穴が開いてしまっていた。
そこから
雪が溶けてキンキンの水になったものが
どんどん入ってきた。
ただでさえ寒いのに、
常に雪の中に
足を突っ込んでいるような状態になった。
テンションがめちゃくちゃ下がった。
１泊２日の旅行だから
次の日もこの状態確定だった。
金沢旅行２日目の朝、
身支度中にそんな私を見兼ねた親友が
足の裏に貼るカイロをくれた。
もらったとき、
優しさはすごくありがたかったのだが、
「雪解け水に覆われても
カイロは発熱してくれるのだろうか？」
と不安になった。
実際、どうなったのかは
はっきりとは覚えていない。
しかし、
「やっぱり水に浸るとダメじゃん」
と落胆した覚えはなく、
足の裏の温かさに癒された記憶が
微かにあるので、
恐らく、
カイロは水に直接触れながらも
頑張ってくれたんだと思う。
ただし、
そのカイロは足の先の方だけに貼るもので
面積が小さかったから、
それ以外の場所には
相変わらずキンキンの水が
染み渡っていて足の芯から冷えた。
せっかく親友と行った
１泊２日の金沢旅行だったが、
足元がびしょ濡れで
キンキンに冷えていたことに
常に気を取られ、
いろいろなところに行ったのにも
関わらず、
あまり記憶がない。
ちなみに、
親友は大寒波が来るということで
耐水性の靴を履いてくるという
完璧な対策をしていて
テンションだだ下がりの私を横目に
終始元気だった。
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