外国が好きすぎて、
英語、スペイン語、インドネシア語、
アラビア語を勉強している

七海
です。

 

外国での旅行エピソード
外国語習得ドタバタエピソード
お届けします。

 

たまに、ただの日常のエッセイも書くよ。
 

 

 

 

祖母が数年前に亡くなった。

 

 

 

祖母とは大学進学と同時に

実家を出るまで

一緒に住んでいたから

他の人の訃報よりだいぶと衝撃的だった。

 

 

 

その日は

友人と電話しようと話していたから、

母から祖母が亡くなったと聞かされた後、

 

 

 

「こういう事情で…」と友人に説明してから

大学の寮を飛び出したのを覚えている。



うちの家庭はいわゆる「普通の家族」とは

違うものだった。

 

 

 

両親は小学生の頃に離婚し、

母の方について行くことになった。

 

 

 

母は地元に帰り、

自分の母親の家に転がり込んだ。

 

 

 

私が祖母と一緒に暮らしていた理由は

こういうことである。

 

 

 

ちなみに祖父は

母がそこそこ若い頃に

既に亡くなっていた。

 

 

 

うちの家にはまだ家族がいた。

 

 

 

犬と猫である。

 

 

 

両方女の子だったので、

我が家には祖母、母、私と

女の子のペットたち…

 

 

 

そう、家族全員女だった。

 

 


そのせいで、

うちの猫は男の人が苦手だ。

 

 

 

低い声を聞くと黒目を

ブワッと大きくして、

小さく丸まって怯え出す。

 

 

 

女の人に飼われているペットが

男の人が苦手というのは

よく聞く話である。



そんな女一家の頂点に立ち続けた祖母も

ついに亡くなった。

 

 

 

お葬式は親族だけで行なったので

それはそれは小規模だった。

 

 

 

とはいえ、

葬儀の業者が

庭にテントを立てたりして、

 

 

 

我が家には

いつもと違う光景が広がっていた。

 

 


このテントなのだが、

犬小屋のすぐ隣に立てることになった。

 

 

 

祖母が寝ている部屋に

隣接しているスペースが

そこだったからである。

 

 


テントの大きさの都合上、

どうしても犬を繋ぐロープを

短くしないといけなくなり、

 

 

 

なんとも申し訳ないなあと

犬に対して思った。

 

 

 

だが
そんな心配をする必要はなかった。

 

 

 

葬儀の業者の男性たちが

わらわらとやってきて

 

 

 

「ああ、本当に祖母亡くなったんだ…

お葬式をやるんだ…」

と呆然としていた頃、

犬小屋の方から

 

 

 

「ハァン♡ハァン♡」

 

 

 

と聞いたことない

お色気たっぷりの声が聞こえて来た。

 



短くされて1メートルあるかないかの

長さになったロープに繋がれた

犬の声だった。

 

 


普段見慣れない男性陣を見て、

大興奮しながら喜んでいた。

 

 


そう、彼女は

女ばかりの家で飼われていたけど、

男の人が大好きだった。

 

 

 

だから男の人に囲まれて、

雌の声全開にして鳴いていた。

 

 

 

まして「可愛いね」と

みんなが可愛がってくれるんだから、

さぞ気持ちが良かったことだろう。

 

 


祖母が亡くなって悲しかったけれど、

これにはめちゃくちゃウケた。

 

 

 

死んだ老人と興奮する雌の声の対比が

なんともおかしかった。

 

 


今でもこの話を笑い話として

いろんな人にする。

 

 


だが、祖母が亡くなった話が

前提としてあるので、

みんな「これ笑っていいのか?」と

戸惑った顔をしてしまう。

 

 

 

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