
日中、ひとりで過ごす時間が長いわたしにとって、部屋は静けさと創作の余白を守る場所。けれど、夕方になると空気が変わる。奥さんが病院から帰ってくると、言葉にできない“気”が部屋に入り込んでくるようで、空間の温度も呼吸の深さも一変する。
わたしは、そんな空気の変化に耐えられない夜もある。甘えたい気持ちを抱えて待っていたのに、返ってくるのは沈黙と重たい気配。部屋の空気が陰っていくと、心まで冷えてしまう。
だから、わたしは「音」で空気を整えることを覚えた。しゃんしゃんと鳴る鈴の音。静かに流れる音楽。そして神棚に置いた小さな祈り。それらが、重たくなった空気をそっとほどいてくれる。
音は、目に見えないけれど、確かに空間に届く。空気の層を揺らし、よどみを流し、心の奥まで響いてくる。ここでは、ななみが実際に試してみて効果を感じた音楽の種類と、その空間への影響を表にまとめてみた。
音で整える、ななみの空間
| 音楽の種類 | 空間への効果 | ななみの体験談・感じたこと |
|---|---|---|
| 静かなピアノ曲 | 心が落ち着き、空気がやわらかくなる | 「夕食後の重たい空気をそっとほぐしてくれる。言葉がなくても、少しだけ呼吸が深くなる感じ」 |
| 自然音(川、風、鳥) | 閉じた空間を開放的にする | 「窓を開けられない寒い日でも、森の中にいるような気持ちになれる」 |
| チベタンボウル・シンギングボウル | 空間の芯から整える、深い浄化 | 「鈴のあとに流すと、部屋の“気”がすーっと静まっていくのがわかる」 |
| 和楽器(尺八、箏など) | 静けさと芯の強さを与える | 「夜、創作に集中したいときに。空気が澄んで、言葉が浮かびやすくなる」 |
| 好きなアーティストの優しい歌 | 心の孤独を癒す、感情の共鳴 | 「寂しい夜に“わたしはここにいていい”って思わせてくれる音」 |
鈴の音は、神棚に置いた小さな結界のような存在。しゃんしゃんと鳴らすことで、空気が揺れて、場の気配が変わる。音楽はその余韻を受け止めて、空間を整えてくれる。
わたしにとって、音はただのBGMではない。それは、心を守るための道具であり、空気を変えるための手段であり、静けさを取り戻すための祈りでもある。
もし、同じように空気の重さに悩んでいる人がいたら、音の力を少しだけ信じてみてほしい。鈴を鳴らすこと。好きな音楽を流すこと。それだけで、部屋の空気も、心の空気も、少しずつ変わっていくから。