母親になる最大の役目
子どもは母親を選んでくるが、子どもが選べるのは“母親”のみだ。
つまり“父親”を選ぶことはできない。
“父親”を選ぶのは、“母親”なのである。
赤ん坊はこの世に生まれてから、人の顔を認識できるようになると、“母親”の顔を愛する。
それは遠い昔に、自分が選んだ人だからこそ、愛着が半端ないのだ。
もちろん、母親の胎内に宿った時から、母親のぬくもり、におい、声などを全体で感じていたということもある。
しかし“父親”を選んではいないので、父親の顔を初めて認識した時、「だれ?この人・・・」的な衝撃を受ける。
誰だか知らない人がなぜか、自分をみているのだ。
そのために生まれた当初、父親になかなか懐かないのは、しょうがないことである。
その内、少しずつ周りの環境を認識し、父親が母親を愛している姿をみたり、母親が父親を愛している姿を確認して、父親という存在を受け入れはじめる。
「誰だが分からないけれど、いつも母親の傍にいて、母親にはこの人が必要なんだ」
そう思うと、母親のためにもそして自分のためにも、必要な人なのだと分かる。
抱っこしてくれたり、何かと世話をしてくれたりすると、「なかなかいい人だ」と感じ初め、ゆっくりと父親が好きだと思う。
子どもになかなか懐いてもらえないと悩む父親は、安心していい。
母親の最大の役目とは何かと考えた時、大概が「育て、教育を施し、擁護する」これが大きな三大名目と言っても過言ではないだろう。
だが、私が思う母親の大きな役目は、実は授かる前にすでに与えられている。
それは「父親を選ぶこと」である。
ほとんどの人が、それは結婚相手となるわけだが、この相手を選ぶことができるのは、母親になる予定の女性しかいない。
子どもは母親の顔だけを見て選んでいるのではなく、母親の性格や性質などの中身をみて、選ぶ。
だが父親になる人は、その時点では決まっていないのだ。
この世に生まれた後、子どもは父親と母親のDNAを半分ずつもらうことになる。
母親の中身は承知の上で受け入れる覚悟はあるが、父親の中身までは分からない。
だがそれは、自分が選んだ母親が選んだ人を、信じているということでもある。
自分が選んだ母親の選択を、心から信用しているのだ。
これはとても純粋な信頼なのだ。
そのため母親になる女性は、この純粋な信頼に応えなければならない。
DNAの中には、遠い昔からの記憶が刻み込まれている。
血にも肉にもそれは刻まれ、自己で制御することすらままならないこともある。
魂が宿る肉体だからこそ、どんなDNAの記憶が刻まれるかは、どんな人生を歩むことになるかに影響を及ぼす。
歪んだ記憶や、暴力的な性質は、そのまま受け継がれる可能性が高い。
そうなると健やかな成長を願っていても、そこに影を落とすことにもなりかねない。
それは子どもだけではなく、母親自身の人生にも影を落とす。
だからこそ、母親になる女性は、「相手選び」という大きな役目を負わなければならない。
自分と自分の子どもを心から愛し、守り、貫く覚悟のある相手を選ぶ必要がある。
そのためにも母親になる女性には、すでに生まれている責任を強く認識し、肩書や収入だけではない、心から信用できる暖かさや、安心感のある相手を選ぶべきだ。
子どもが生まれた後もやらなければならないことは山のようにある。
それでも私が思う母親が担う最大の役目は、「父親選び」と「この世に産みだす力」
である。
生まれた後にも母親は非常に大切な役割があるだろう。
それでも母親がこの世を去らなければならないこともある。
そんな時、「母親の役目を果たせなくてごめんね」などと謝らなくてもいい。
もうすでに最大の役目を果たしている。
父親選びを間違えていなければ、安心していい。
父親は母親の思いを深く受けとめ、引き継ぎ、与えることができる。
子どもには母親が必要だと言われるが、その子どもにとって正しい父親であれば、子どもは楽しく育つものと信じる。
父親と母親が与える愛には違いがあるという。
父親は子どもの未来を見据えて、愛を与える。
母親は今の子どもの状態を見て、愛を与える。
お互いがいれば、今と未来をみて愛を与えることができるかもしれない。
しかし母親が与えた“今”という愛は、子どもの潜在意識に刻み込まれ、必要な時には自分を守る盾になり、未来永劫消えることはない。
女性は男性を選ぶ時、曇りのない目で相手を見て、相手の目が透き通っているか確認してほしい。
あなたにとって正しい相手であれば、その目の奥に宇宙がみえるはずだから。