そうそうと給食いえば・・・
どのクラスにも必ず好き嫌いが激しく、ずっと給食を食べ続ける子がいませんでしか?みんなが遊びに行ってもひたすら残され、じっとおかずを見つめ続けるタイプの子が・・・。
特に牛乳がダメで、鼻をつまんで飲んだり、焦って飲むので逆流して吐いたり。で、不思議なことに、可愛い子はあんまり残って食べてたりしないんだよね。じーっとおかずをひとりで見つめ続けるのが似合う子がやはり残っていたように思う。
僕は放送委員だったので、当番の時は職員室でレコードを掛けながら、給食を食べていた。これは先生がおかずをくれたり、給食室のおばちゃんが果物をくれたりと、普段より良い食生活を送れるのです。
ここが問題なのだが、いつも当番の時には不覚にもトイレに行きたくなるのです。当然普段より食べる量は増えるので当たり前に考えられることですが、これが困ります。
不思議なことに小学校でトイレ大の方をするとどうしてあんなに攻められるのでしょう。今でもそうなのでしょうか?まるで凄く悪いことをしたようにみんなから攻められたりします。
下手をすると変なあだ名を付けられたりで、一生が台無しです。僕は良くも悪くも目立っていたのでなおさらトイレ大をするわけにはいきませんでした。でも、我慢も良くないのでこっそり職員便所を勝手に使っていました。ここなら友達が来ることもないし、職員室からも近いし言うことなしです。快食快便な日々を快調に、そして隠密に過ごしていました。
しかし習慣とは恐ろしいもので、当番の時ほど食べなくても、なんだかお昼になると催すような体になってきたのです。これは問題です。その日も来そうな気がしていたので、みんなが給食を食べ終わる前にトイレに行くことにしました。ただ四人一組で食べるので、みんなが食べ終わらないと、片づけることはできません。しかしそんな時間は当然ないし・・。
まるで時限爆弾を抱えているように汗が噴き出してきます。ものがものだけに諦めることもできないし。そこで小学生ながら根回しに長けていた僕は、僕たちの班のリーダー、岡村さん(仮名11歳)にそっと耳打ちしました。
「ちょっと気分が悪いので保健室に行って来る。」
そして4階から保健室近くの1階のトイレにダッシュしたのです。無事爆弾の処理も終えて、水を流そうとしているそのとき、聞き慣れた声が近づいてきました。
サバンナの水牛のようなその足音は、間違いなくこのトイレを目指していました。
「タケシ、大丈夫かあ」
どうやらリーダーシップを発揮した岡村さんが、僕が気分が悪いらしいとクラスの連中に伝えてくれたのです。
「マズイ」
このときは本当にそう思いまた。「早くブツを流さないとパクられてしまう」あのときほど水不足でなくて良かったと思ったことはありません。水の音を背に、扉から飛び出したのと同時に、心配してくれた友達が10人ほど、踏み込んできました。
なぜ保健室に行かないで、トイレに入っていたのかという疑惑を解かねばならなかったので、僕はなるべく調子が悪そうな顔をしてみんなにこういいました。
「ちょっと気分悪うて。でももう吐いたから大丈夫」
(証拠は確かに水の中に消えたし。これで良し。)
僕は友達に抱えられるように教室に戻りました。多少の後ろめたさがあるものの、みんなが心配してくれるのは嬉しいものです。先生も心配してくれました。好き嫌いもなく人一倍元気な僕が、調子悪いなんて言うのだから、申し訳ないくらい心配してくれました。
あまり心配してくれた先生が、5時間目の僕の大好きな体育の<ソフトボール>を見学しろとおっしゃったのは、満腹のゲップがでたわずか15分後のことでした。
嘘の良くないところは、それを正当化するためにまた嘘をつくことですね。こうして幼き頃、学習したはずなのに、いまひとつ成果が現れないのは、きっと引っ越したときに、小学校の思い出をいっしょに忘れてきたからだと思う。たまにはあのころの写真でもみて反省するか・・・。
そうそう写真といえば・・・