最近特にハマっている少女漫画が『涙雨とセレナーデ』。
主人公の女の子が、現代から明治時代にタイムスリップするというお話です。
雨音、バイオリンとチェロの音、雫形のネックレス、馬車の車輪の音、土煙の匂い……。
郷愁とロマンチシズムがめいっぱい詰まった、秋の夜にぴったりの漫画です。
主人公『陽菜』が出会うのは、自分と見た目がそっくりの令嬢『雛子』。
その雛子の婚約者は、小さな頃に出会った『たーくん』。
陽菜は『たーくん』に恋をするのですが、相手は自分を雛子だと思っている。
そして自分はこの時代の住人ではない。
この時代で恋をするには、陽菜はあまりにも不安定で無責任な身。
伝えたいけれど伝えられない恋心……。
届きそうで届かない想い……。
そんな切なくて甘美な想いが詰まった、時空を超えたラブストーリーです。
「真に仰る通りだ……今のままでは至極情けない。……それでも、陽菜と会って今一度話をせんことには、何も前に進めぬ有り様なのです」(5巻より抜粋)
時代漫画特有の、セリフ回しにもグッときます。
陽菜の心の揺れ、他のキャラクターの想いもさることながら、
陽菜の想い人『たーくん』の、「好きな人を助けたい」「気持ちを伝えたい」という純粋な心にもときめきます。
誰かの代わりではなく『自分だけ』を好きになってほしい。
好きな人の『ただひとりの人』になりたい。
好きな人が自分のことを四六時中考えてくれるといいのに。
制御不能なくらい誰かを好きになってみたい。
時間も空間も超えて『ただひとりの人』を愛したい。
女の子が恋愛に抱えているロマンを、この漫画で見ることができるように思います。
まだ様々な秘密が隠れていそうだったり、陽菜とたーくんの今後に新たな進展がありそうだったり、どうやって陽菜が現代に戻れるのかがまだ判明していなかったりと、これからの展開が気になるところではあります。
恋愛にときめいて、時空の旅にハラハラして……。
秋の夜長を、心を揺り動かしながら楽しんでみてはいかがでしょうか?