前回はPublic Healthについて書いたので、今回は国際保健についてふれてみようと思います。
2016.2 フィリピンにて
◾️国際保健は、とにかく幅広い!
国際保健というと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
実際にお仕事として関わられていらっしゃる方もいれば、やや漠然としている方、中には全くイメージすらもわかない方もいらっしゃると思うので、ちょっと教科書から定義を引っ張ってきました。
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国際保健の定義
①国や地域での健康の水準や、保健医療サービスの状況を示す指標として何が適切であるかを明らかにし、
②国や地域間に見られる健康の水準や保健医療サービスの格差がどの程度を超えたら、受け入れがたい格差であり、その是正が必要と思われるかを明らかにし、
③そのような格差の生じた原因を解明し、
④格差を縮小する手段を研究、開発する
ための学問。
(国際保健医療学 第2版より)
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と、いうことみたいです。うーん、あんまりピンとこない。
では、そもそも健康とは何か、というところに着目してみます。
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WHO憲章 健康の定義
Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)
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この定義によって、WHOでは、医療に限定されず幅広い分野で、人々の健全で安心安全な生活を確保するための取り組みが行われているのです、とのこと。
つまり、医療分野だけでなくいろんな人たちが協力して格差をなくし、地球全体で平等に健康になろう!っていう学問です。ほんとにざっくり!
ちなみに、扱う分野の例は以下の通り。
環境問題、教育、ジェンダー、感染症、経済、疫学、人類学、ヘルスシステム、プライマリヘルスケア、人権と倫理、リプロダクティブヘルス、栄養、メンタルヘルス、労働衛生、外傷や事故、口腔保健、タバコ、医薬品、難民、伝統医療、、、
などなど、多岐に渡ります。
感染症やリプロダクティブヘルス(母子保健)なんかはイメージしやすいかもしれませんが、もちろん医学にとどまらず、様々な分野にまたがっている、ちょっとつかみどころのない分野でもあります。笑
では、実際にどうやって働くの?ということが疑問に思われるかもしれませんが、本当に様々な分野の方が関わっております。
医師、看護師、歯科医師、理学・作業療法士などの医療保険分野の職種にとどまらず、栄養、文系、福祉、人類学など多岐に渡っており、
実際に働く現場としては、WHOなどの国際機関、JICA、NGO、大学や研究機関、省庁、農学、企業など活躍の場はとても幅広いのです。
裏を返せば、「国際保健がやりたい!」と思えば、過去にどんな専門を持っていたとしても、誰にでも国際保健の仕事ができるということかもしれません。
ちなみに、国際保健は大学院などで学問として勉強することができます。アメリカのハーバード大学なんかは有名どころですが、私が卒業した順天堂大学(絶賛炎上中!)や高知大学でも国際保健の大学院が開講されています。
◾️国際保健医療学会
国際保健医療学会には、過去に4回ほど参加したことがあります。
これがまた、面白いのなんの。
例えば、忘れられないエピソードが、「のろしプロジェクト」
確か、地域おこしをコンサルティングしているような取り組みを行っている方からの発表だったと記憶しています。そのうちの一つの事例の発表でした。
その方は、ある島から地域おこしの依頼を受けました。
現在、地方では、少子高齢化に悩まされている自治体も多いのではないかと思います。
その取り組みでは、まず初めに住民の聞き取り調査を行います。
そこで住民のある男性の方から上がったご意見に「のろしをあげたい」というものがあったと言います。
"のろしを上げる"
この時に聞き取り調査をした方は、こののろし案を聞き逃さず、なんと実行に移すことになりました。
そこから始まったこの取り組み。
ちなみに、
狼煙(のろし)とは、物を焼くことで煙を上げ、それを離れたところから確認することによって、情報を伝達する手段である。夜間など煙が見えない場合は、火そのものも使われる。
(Wikipediaより)
こんな感じです。ただの煙。
最初にあげたのろしに島の人たちは大注目、なんと別の島から「返りのろし」といって、のろしに対するお返事が上がったそう。
ここから一気に火がついて、のろしイベントは定期的に開かれることになり、のろしTシャツ、のろし体操、大人も子供も参加する地域の大イベントになったそうな。
確か、こんなストーリーだったと思います笑(うろ覚え)
また、先住民のユタに弟子入りした話とか、もう訳のわからない発表が盛りだくさんなのです。本当に面白すぎる。
先日も、小平で国際保健医療学会が開催されたので、足を運んで参りました。
(かくいう私も、ヨルダンにおけるシリア難民障害者の状況についてこっそりポスター発表してきました)
ここでも、最高に面白いシンポジウムがありました。
"グローバルヘルス(国際保健)をライフワークとする人々のワーク・ライフ・バランス"というタイトルで、6名の方々が自分の人生を赤裸々に語るという会でした。
登壇された6名の方は、JICA勤務だったりWHO勤務だったりNGOを設立したりと色々なことを代わる代わるされつつ、どこかのポイントでハーバードなど海外の公衆衛生大学院をご卒業されたご経験もあるような方々で、アジア、アフリカなどを飛び回られているようなグローバルな経歴の持ち主ばかりでした。
一人ひとりの発表も本当に凄すぎかつ赤裸々すぎて面白かったのですが(登山などの趣味の話、親や子供の話、配偶者が変わった話、男性への愛の話とか…)、ちょっと紹介しきれないので割愛します。
この方々を招集した、座長の方の最後のまとめ、
「すごいことをやっているように見えるけれど、若い時は、みんな悩んでいる。悩んでいいんです!道無き道を、行ってください。そして、ワークとライフのバランスなんて取れるわけがないんです。ワークとワイフを含めて、自分の人生を作り上げてください。
そして、気をつけなくてはいけないのが、絶対に人と比べないこと!これは強調しておきます。
人生には3つの坂があると言われています。上り坂、下り坂、まさか!これを思う存分楽しんでください。国際協力は、楽しくないとやっていけません!」
もはや、なんの学会なのかよく分からないのですが、めちゃくちゃグローバル、かつローカルを何より大事にしてる人ばっかりで、何でもありなのが面白いところ。
視野が広がり、人生観が変わる、出会いの宝庫。
もちろん、こんなぶっ飛んだ発表ばかりじゃなくて、真面目な発表がほとんどです。笑
この他には、他国での調査についてのポスター発表、地域医療の話だったり、JICAのシンポジウムやサステイナビリティに関するシンポジウムなどに参加してきました。
というわけで、私はこれからも足を伸ばせる限りこの学会に参加し続けます。
◾️自分の人生も、振り返ってみたら国際保健に繋がっていた
スタディツアーに関する別の記事でも触れましたが、私は幸いにも過去にいくつか、スタディツアーや海外でのボランティアなどに参加させていただいたことがあります。
・2013.7 タイ、マヒドン大学
・2014.8 アメリカ、スタンフォード大学
・2015.8 アメリカ、ハワイ大学
・2016.2 フィリピン
・2016.3 オーストラリア
・2018.5-8 ヨルダン
・2018.9 マーシャル諸島
・2019.1(予定) アメリカ、ハワイ大学
・2019.3(予定) ヨルダン
面白いのは、先進国も、途上国も含まれていて、その括りにとどまらず、オーストラリアは広大な地域にアボリジニと白人が共存しているという特殊な環境だったり、ヨルダンはイスラムという文化の中にシリアの紛争から逃れた難民で溢れている環境だったり、マーシャル諸島は海がものすごく綺麗だけど、30年後には海に沈むと言われていたり、まぁどこに行ってもその国なりの良さや社会・環境問題があるんだなぁということがわかりました。
これだけでも、本当に大きな収穫。そして、旅行で行くだけでは見えてこなかったことばかりでした。
現地ではそれぞれ色々なことを見聞きしてきたのですが、いずれも、「様々な職種の仲間と協力する。地域やその国の環境を知る。そして医療もちょっと知る」というのは共通していたかな、と思います。
・・・あれ?
振り返ってみると、、なんだか、全部国際保健につながっている?
という感じで、全く意識していなかったのですが、気付いたら私の人生は国際保健に向かって一目散に突き進んでいたのでした。気づかなかったー!
しかもしかも、これ全部自分でネットなどで探したものは一つもなくて、全て"人とのご縁"で参加することができたものなのです。
そして、今年のヨルダン、マーシャル諸島、ハワイに至っては、全部中部病院関係の方が運んでくださったご縁でした。(なんとハワイに至っては、奨学金すらも!)
本当に、不思議。中部病院に行かなかった人生は想像すらできないけど、中部病院じゃなかったら、人生全く違った方向に行っていたかと。
最近も、なぜか集まってくるのは国際保健や公衆衛生、中東の情報ばかり。自分のアンテナが自然にそっちに向かっているんでしょうね。
どういう関わり方になるかは分かりませんが、もうしばらく病院で臨床やったのちは、一旦大学院などでPublic Health、国際保健についてしっかり勉強して、ゆくゆくはこの分野に進んでいきたいなあと思っています。(というか、すでに足を踏み入れている?)
というわけで、少しでも国際保健というつかみどころのない分野について知っていただき、興味を持って頂けたら、幸いです(^^)
皆さん、意外と読んでいただいているみたいなので笑、気が向いたらフィードバックとかもらえたら嬉しいでーす!ではでは。