私の父が、「ハーフパンツは、半ズボンよりもかっこをつけているよ。それが気に食わないんだろう?」と言いました。

その通りです。

ハーフパンツの普及は、小学生男子の下着の変化に対応していると言われます。

ここで考えられる長めの下着とは、トランクスのことですが、ネットで調べてみると、トランクス神話がどういうものであるのかが浮かび上がって来ます。

「中学生にもなると、『思春期突入』となって、同世代女子としては、白ブリーフを穿いた男子など、下着の中まで母親に管理されている感じがするんですよ。こういう男子と結婚しても、嫁・姑関係で苦労しそうなんですよ。」

まずここでは、幼い少年など、自分の恋愛対象にはできないという思春期女性たちの嗜好が語られています。

ここで思春期突入とされる時期は、中学時代であって、従来であれば小学生段階は思春期突入以前です。

1988年に、こんな体験をしました。

<小学校5年生の弟は、冬でも半袖・半ズボン姿で、ビックリマンシールに夢中になっているのに、中学校1年生の兄は、勿論長ズボンを着用し、ローラースケートを履いて踊っている。>

1988年時点でも、マスコミでは、中学校1年生の兄のような少年をもてはやしていたわけだから、中学生のようなかっこつけが、いつ小学校高学年に押し寄せて来るか、私は脅威を感じていました。

具体的な可能性は、<半ズボン廃絶>です。

半ズボン全盛期においても、小学校を卒業したら半ズボンを卒業したわけだから、かっこつけの年齢が低下したら、まず半ズボンが打撃を受けるのは、目に見えていたのです。

ただそれが、乳母車に乗った赤ちゃんに至るまで、ハーフパンツを穿き、喧嘩用の鎖を巻き、それを可愛いという親やファッション関係者が現れるのは、想定できませんでした。

私は、思春期以前の<夢多き少年時代>に心を打たれますし、その具体的表現として半ズボンがあります。

思春期的なかっこつけを良しとする親の出現は、恐らく1960年代生まれの新人類が親になったことと関係していると思います。

私も1960年代半ば過ぎの生まれですが、あの人たちの中学・高校時代を思い出すと、どこからも親として「我が子には小学生までは夢多き少年時代を」という発想が見当たらないからです。

あの人たちは、テレビの思春期アイドルに陶酔していました。

1960年代以降の生まれの親たちが、夢多き少年時代を理解しないから、テレビでも小学校舞台のドラマがなくなったのだと思います。

東野英心さんが、「はっちゃく基金」を創設し、子供向け実写ドラマの復活にこぎ出そうとして失敗したのが1999年であり、その時期の小学生の親が1960年代生まれであることを考えると、納得がいきます。

現代の小学生男子は、仲間を募って半ズボンを穿きましょう。

結果として考えられることは、子供の世界で友人関係の組み換えが起きることです。