最強の座は譲らない。暮れの大一番、有馬記念(G1、芝2500メートル、26日=中山)の追い切りが22日行われ、ファン投票1位のブエナビスタ(牝4、栗東・松田博)が万全の態勢を整えた。Cウッドコースの単走追いは、6ハロン86秒6と軽めながら、ラスト1ハロンは11秒6の伸びを見せた。
ブエナビスタが秋G1・3戦目を迎える。天皇賞、ジャパンCの疲れ、反動が気になるところだが、女帝には関係なかった。それどころか、さらに調子を上げている印象だ。
注目の追い切りは、前夜の雨で水分をたっぷり含んだCウッド。いつも通り1周目をゆったり走り、2周目の直線でいっぱいに追われた。6ハロン86秒6の時計は平凡だが、直線半ばで手前を替えると、弾む馬体がグンと沈んだ。ラスト1ハロンは出色の11秒6をマーク。松田博師は「有馬記念だからといって、どうこうということはない」と話すが、状態面については「最高。3戦目でアップということはないが、高い状態を維持している」と手応えを口にした。
前走のジャパンCは1位に入線しながら、ゴール前の内斜行でローズキングダムの進路を妨害。2着に降着となった。その雪辱を期すスミヨンは、共同会見ではニコリともせず、有馬記念への思いを吐露した。
スミヨン 過去のことよりもこれからのことを考えたい。レースプランは練るが、ゲートを出てから一瞬でそのプランは変わる。その時に判断したい。今年最後のビッグレースということは知っているが、ブエナにとっても、自分にとっても最後ではない。ファンにはレースを楽しんで欲しいと思う。
淡々と言葉をつないだがパートナーを思う気持ちは強い。調教の合間には馬房をのぞいた。顔をなで、ニンジンをあげて、話し掛けた。「妻には申し訳ないけど、今はブエナビスタのことが一番だ」。中山の2500メートルが甘くないことも知っている。「1番人気が数多く負けているレース。独特のコース形態ということもあるが、秋のG1シーズンの最後で疲れが出ているという側面もある」。
持ち歩くポータブルゲームのサッカーでも、負ければ感情をあらわにするほど熱い男。その一方で、緻密な研究とレースに行っての冷静な判断も併せ持つ。夜のレセプションパーティーでは「ブエナは日本のスーパーホース。彼女が一番強いと思っている。JCで迷惑を掛けた分、今度こそ結果を出して彼女のキャリアを奪回したい」と決意を口にした。ジャパンCで見せたウイニングランは幻に終わった。有馬記念こそ、こん身の歓喜を-。ブエナとスミヨンになら、夢を託せる
枠順は7番、がんばってブエナ!