とても心に響く大好きな歌の一つです。
『優しい歌が歌えない』
作詞・作曲・歌 槇原敬之
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抱えた苦しみは誰のせいと
人をひどく責める的はずれを
何度も何度も繰りかえして
苦しみは前より増えるばかり
同じページを捲りすぎた
本のように日々はすり切れて
自分の中を見る以外に
もう術はなくなってしまってた
そこで僕は確かに見たんだ
総てを人のせいにして
だれでも平気で傷つけるような
もうひとりの自分が
こころの中で暴れながら
僕をぼろぼろにするのを
はじめてのぞいた心の中は
見たこともない暗闇で
僕はとても怖くなって
何度も足がすくんだ

夏に間に合うように木の葉は
日陰を作ろうと大きくなり
木の葉曇る小さな陰を
愚か者にも分けてくれる
責めるつもりなど無いというように
葉音の歌を歌ってくれる
人に生まれたはずの僕は
優しい歌の一つも歌えない
たとえ何か出来なくたっていい
せめてこれから生きるときに
同じような事を繰り返して
誰かをまた傷つけぬよう
こころの中を
どんなときも 見つめられる
強い自分になりたい
はじめてのぞいた心の中が
あんな闇に包まれていたのは
自分をかばう僕の手が
光を遮っていたからだ
この気持さえ身勝手な
想いと今は解るけど
本当にすまないことをしたと
今すぐ謝りに行きたい
木の葉曇る背中を押すように
突然強い風が吹いて
立ち上がると僕の行く
5月の道が光っていた
優しい歌が僕にも
歌えそうだ
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この歌は、
槇原さんが麻薬所持で逮捕された後、
長い間かかってやっと書き上げた初めての歌です。
ごくプライベートなことで、
マスコミや一般人にバッシングされて、
長い間とてもつらく苦しい思いをし続けた結果、
薬に手を出してしまいました。
薬に手を出すことは悪いことですが、
それほどにつらいことや苦しいことを他人から与えられ、
その状況から逃げ出したくなることを、
誰が責められるのでしょうか。
それでも彼は、
自分の力で立ち上がります。
そして、周囲に支えてくれた人がいたことに気がつき、
自分の行動によって、
悲しんだ多くのファンがいてくれたことを知ります。
その後。
彼は素晴らしい曲を次々と生み出していきました。
「世界で一つだけの花」
も、その後の彼の心の変化によって生み出された素晴らしい曲だと思います。
そしてこの「優しい歌が歌えない」は、
苦しかったその時のことや、
その後、光を見出した時の気持ちがあらわれていて、
聞くたびに胸の奥で何かが溢れてきます。
私自身の聞く時の状態によって、
溢れてくるものは違いますが、
彼が素晴らしい歌を作る人だということは今も昔も変わらず思います。
この曲の中で、
私が一番ハッとしたのは、
「はじめてのぞいた心の中が あんな闇に包まれていたのは
自分をかばう僕の手が 光を遮っていたからだ 」
というところです。
まさにその時の私がそうでした。
今もまた光を見失いそうになっていましたが、
暖かい言葉をかけてくださった方々のおかげで、
見失わずにすみそうです。
考えすぎだと言われても、
それが自分なのだから、
本当の意味で、強い自分になりたい。
心配し、暖かいお言葉をくださった皆様、
本当にありがとうございました。
m(_ _ )m