10時に転院と言う事で、9時にいえいえ、9時前に病院に

着いたはずの私と次女

ところが警備室で時間を取り、夫のいる病棟に着いた時には

9時5分になっていました。

 

夫の病棟階に着いた時、エレベーターが開くともうその前には

夫が待っていました。

 

ナースステーションに行って退院の迎えに来ましたと言うと

エレベーター前の椅子に座って看護師が来るのを待って下さいと

言われましたが、

夫は着替えがあるなら出して、着替えてくると言って荷物を持って行ってしまいました。

 

エレベーター前の椅子では、他の退院家族も退院手続きが行われていて、

こういう事が行われるのだなと思いつつも看護師さんはおろか夫も

勇んで着替えに行ったものの中々戻って来ません。

そこで次女が夫の様子を見に行き、私は引き続き、言われた場所で待っていることにしました。

 

先ほどから転院手続きをしていたご家族は、

転院先のスタッフさんも見守る中、順調に必要な書類にサインをし、転院先に

持って行くべき書類を渡され、厳粛な表情で席を後にしました。

夫より歳は上のようですが、ちゃんとサインも出来て会話もしごく普通で

この方もリハビリ病院に転院するのかなと見ていました。

夫は、サインもまだうまく出来るのか。数日前に保険のためのサインを頼んだら

書けないからもう少し後にしてくれと言われたばかりです。

 

その方たちも見送り、昨日からの腹痛に見舞われ吐き気もあったのでおとなしく待ちながら、夫を待っていると

次女が帰って来ました。

どうも服どころか靴下も履けず、

「なんでよりによってこんな靴下を持ってくるのだ?」

とキレたそうです。

そしてズボンになると、これもまた

「見たことのないズボンだ。わざわざ買ったのか」と

言いますので、次女はどこで買ったのか覚えていて、説明をしたそうです。

シャツは多分言われたとおりのだったのではないかと聞きますと

それは合っていたみたいだけれど、ボタンがはめられずに次女の手を借りたそうです。

そんな中看護師さんが転院の書類を渡してくれていたそうです。

 

父が入院した時にお飾りのようで、すべての手続きをしていた私が

いるだけの存在になっておりましたが、

看護師さんが退院の支払い準備が出来ましたといらしたことで

やっと出番が来て、受付に行き、支払いを済ませました。

前日に先月分を見ながらおおよその計算をしていましたので、

用意していたお金がほぼぴったりでした。

 

帰る途中にリハビリ担当にスタッフが挨拶に来てくれました。

次のリハビリ病院はしっかりリハビリをやってくれるところなので

厳しいだろうけれど、やればやるだけの事はあるからガンバってと励ましの言葉を

頂きました。

 

ここまでで10時10分前です。

リハビリ病院のお迎えとは病棟だったので、病院の出口まで来てしまった私たちは

出口で待っていればお迎えのスタッフと会えるかなと

思っておりましたら、夫が「自分が問い合わせて来るから待っていて」

と言い出したので

次女に聞きに行って貰いました。

こちらは診察棟の出口なので病棟の出口ではないかと言う事でした。

 

早速長い廊下を病棟に逆戻り、転院先が決まるまで色々忙しかったためか

もう良くなっていいはずの肋骨骨折の場所が痛くて前かがみになってしまう私を

心配して夫と次女が荷物を分け合って持ってくれました。

次女に寄れば、今まで、どれだけ夫の荷物を持たされたことかとそういう思いやりのない人だと思っていたので、ただただビックリしたそうです。

 

失われた脳細胞の部分がそういう悪い癖で新しく育つ細胞が思いやりだったら

いいなあと言っていました。

 

そうそう、手術終了の連絡を受けた時に主治医からは、

詰まってしまった脳細胞はもう戻らないし、戻ってもほんのちょっと

本人の自覚がなければ、これ以上良くはならない。これ以上悪くならないための手術であったと言われ、絶望を味わったところだったので、転院という希望で

今まで一か月以上も通っているのに、初めてお礼を言われ、私の骨折の状態を

心配してくれた時に、人を思いやる事が出来る脳が働き始めたのかなと

ちょっと期待をしたものでした。

 

人によって損傷を受けた脳の部分が違うようですが、思考、運動、言語、記憶の

色々な部分が失われた状態で入院をしたと思います。

入院してからの様子を見ていると言葉が出ないだけでなく記憶もかなり損傷をしていたかなと思われる言動がありました。

手術後は、言葉や運動は回復してきたものの、記憶や相手を思いやる言葉は、ほとんど出て来ず、先が思いやられたものですが、転院してリハビリに強い病院に移るという希望で、こんなにも感謝の言葉や行動が出て来たのかと急激な変化にビックリしています。