昨年2023年度のアカデミー主演男優賞を取った作品ですが、

2023年のアカデミー賞は、A24制作の作品が賞を取りすぎていたり、

賞を取れば興行収入が増えるだろうとするような日本の公開日などになんとなく反発を感じてしまって観なかった作品。

 

 

 

 

 

解説

「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督が、「ハムナプトラ」シリーズのブレンダン・フレイザーを主演に迎えた人間ドラマ。劇作家サム・D・ハンターによる舞台劇を原作に、死期の迫った肥満症の男が娘との絆を取り戻そうとする姿を描く。

40代のチャーリーはボーイフレンドのアランを亡くして以来、過食と引きこもり生活を続けたせいで健康を損なってしまう。アランの妹で看護師のリズに助けてもらいながら、オンライン授業の講師として生計を立てているが、心不全の症状が悪化しても病院へ行くことを拒否し続けていた。自身の死期が近いことを悟った彼は、8年前にアランと暮らすために家庭を捨ててから疎遠になっていた娘エリーに会いに行くが、彼女は学校生活や家庭に多くの問題を抱えていた。

272キロの巨体の男チャーリーを演じたフレイザーが第95回アカデミー賞で主演男優賞を受賞。メイクアップ&ヘアスタイリング賞とあわせて2部門を受賞した。共演はドラマ「ストレンジャー・シングス」のセイディー・シンク、「ザ・メニュー」のホン・チャウ。

2022年製作/117分/PG12/アメリカ
原題:The Whale
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2023年4月7日

 

ところが今年のプレゼンターとして出て来たブレンダン・フレイザーを見たら、

普通のおじさんになっていて、いや昨年だって、映画のままのおデブさんではなかったのですが、今年は、ギラギラしたところがなかったので、観てもいいかなって思っていたのです。

で、夫がその映画の録画を観ていたのを横から見たら、あまりのおデブぶりで、それだけで10分くらいは、話せるほどでしたね。

『ギルバート・グレイプ』の母親を見た時以来の衝撃です。

200㌔を超える人は、それだけで何があったのかと思わずにはいられないです。

自分だって、ほおっておけば太る方だと思います。

実際、こういう天候の不純な日が続くと体調が悪くて、どこかしら痛んだりします。

痛みを忘れるために何かを食べようかという気にもなります。

でも、どこかできっと踏みとどまるのではないかと思うのです。

 

でも主人公のチャーリー。ここで、主人公の名前を確認するためにあらすじを読むと

なんと40代なのですか?

外国の人の年齢って解らないです。もっと上なのかと思って観ていました。

 

とにかくこのままじゃ死んでもおかしくないという太り具合です。

彼の世話をしている看護師のリズ。病院に行くようにというものの食べ物は、

脂っこいものを渡したりします。

 

ある日、娘が訪ねて来ます。チャリーは8年前に教え子の男子生徒と恋に落ち、家を捨てたものの一人娘の事が気がかりで、ずっと気になっていたのです。

そんな娘ですが、来たというだけましで、将来のことなど何も考えていないような娘です。難しい年ごろで、その日も学校を退学になってしまうかもしれないという話をします。父親は、なんとかして彼女の将来をいいものにしたいとエッセイを書くのを手伝うと言います。

何と言っても彼女が4年前に書いたエッセイがすばらしく才能にあふれているのだから、出来るはずだと信じています。

とはいえ、素晴らしいのかどうなのか、こちらには、ちっとも解りません。

しかし、オンライン授業とはいえ、エッセイを教えている教授がいうことなのですから、素晴らしいのかもしれません。チャーリーの心からの訴えに心を動かされてしまう。

 

私も娘が小学校の時に描いた絵をしばらく飾っていた事がありますが、

大人になった時に聞いたら、そんな評価された絵でもなかったと言っておりました。

でも、その絵を見ると心がなごみ、どんな画家の絵より飾っておきたかったという

気持ちがあったと思います。

 

だから、チャーリーが、強くそのエッセイを押すのも、彼のその気分に合っていたのかもしれないと思いました。

心からいいエッセイだと思っていたように思いました。そしてどんな娘であれ、彼はエッセイと同じように娘を大好きでどんなことでも許せてしまう感じでした。

 

そんな娘が教会の宣教師と名乗る若い男性がチャーリーのところに来ているのに出会う。

この男が勧めているのは、チャーリーの恋人アランを奪ったであろう信仰のようで

誰も、この誘いには乗らない。

むしろ嫌悪すらしている。娘が次の日も来るように言ったのは、そんな彼でもお父さんの役に立つを思ったのだろうか。

 

あと出てくるのは、ピザ配達の男とオンラインで授業を受けている学生たち。

 

何度も舞台化された作品だというが、このコロナ禍を過ごしてきたので、この家から出られないのが、すごくリアルである。

 

血圧がとんでもない事になっているのに、救急車を呼べないのか。

緩慢なる自殺を助けているのか。

 

そうだ、元妻も現れる。

彼女は、娘の事を悪魔の子のように言う。

実際に育てていると手に負えないのだろう。しかも思春期の子供というのは、一人親では、すぐに相談できる人もなく、一緒に実情を見ている人もおらず、かなり大変なものだと思う。

とはいえ、邪悪と言い切ってしまっていることに彼女も追い込まれたところにいるのだろう。

 

この映画の説明に最期の五日間とか死期の迫った男と書いてあるが、どうか助かって欲しいと私は思う。

死はどれだけ、人にダメージを与えるのか、チャーリーだって身をもって知ったはずではないだろうか。