本作は結婚したばかりの夫の殺害を自白した女性グレイスを主人公にしたスリラー。事件を調査する担当弁護士が、心優しく善良なグレイスの供述の裏に潜む驚きの真実にたどり着くさまが描かれる。クリスタル・フォックスがグレイスを演じたほか、
Netflixで2020年1月17日から配信。
2019年製作/120分/アメリカ
原題:A Fall from Grace
配信:Netflix
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ジャスミンの務める弁護士事務所は、グレイス・ウォーターの国選弁護士として指名を受けたので、未熟なジャスミンでも出来るだろうと担当にされます。
グレイスが罪を認め裁判を起こさない代わりに、減刑を求める“司法取引”に応じさせるだけだからです。
ジャスミンは凶悪犯罪を扱ったことがないので、よく解らず、拘置所に出向きます。グレイスは、罪を認めていて、ただ息子や孫の近くの刑務所に入ることだけを望んでいます。
彼女の様子、彼女の資料から、人を殺した人には、見えないと資料の中から、彼女の友達に会いに行くことにしました。グレイスは、銀行に勤め、教会にも通うまじめな人に見えたからです。
翌日、弁護士事務所にグレイスの息子マルコムが来訪し、母親の無実を訴えます。
ここで、担当のジャスミンはもっと息子から話を聞いたら良かったのに、母からは面会を拒絶されて会えないと言いますので、二人の気持ちも確認されていません。
ジャスミンが拘置所に行くと、検察に出した司法取引条件は、仮釈放のない終身刑が妥当だと言い渡され、それを聞いたグレイスは、絶望します。
グレイスのあまりの絶望ぶりに何か出来ないかと思ったジャスミンはグレイスの友達サラに会いに行くことにします。
サラは、グレイスは、持ち家があり、仕事も順調だったのだが、息子が元夫の家で結婚式を挙げたのだが、家の中はそのままで息子と年が変わらないような女性と再婚して、自分をないがしろにしているという。そこで、サラはグレイスは自分より、若いのだからいい人を見つけたらと勧めますが、婚活みたいなのはしたくない。自然に出会う方がいいというので、彼女が前夫と出会ったように写真展に行くのを勧めたと言って、その案内状をジャスミンに渡します。
その写真展で、彼女が撲殺したという夫のシャノンとグレイスは出会ったというのです。
ジャスミンは自宅に帰り、事件現場の写真を確認します。不信に感じて、翌日、上司のローリーに訴えますが、調べるお金がないので、さっさとこの事件を終わらせるように言われる。
ジャスミンは司法取引の書類をもって、再び拘置所にいきますが、サラからもらった写真展の案内をだすと、グレイスの様子が一変、
そしてジャスミンは、グレイスに夫との間に何があったのか、詳しく話しをするよう聞きはじめ、グレイスも記憶を遡りゆっくり語り始めます。
突然、若い男性から言い寄られ、慎重に関係を育てていきます。3か月経っても、家に入れてくれないグレイスにシャノンは、結婚を申し出ます。
そこまで来て、断ることもないと言う事で結婚します。彼は、結婚後も優しく接してくれますが、ある時、グレイスは、銀行のお金を使い込んだと言って解雇されます。
警察や、親友のサラの紹介で弁護士にもあって、彼女のIDが盗まれた証明をしようとしますが、中々出来ず、ある時、会社の防犯カメラを調べていて、夫のシャノンが盗んだらしいことが解ります。
彼女の家を抵当に入れて、お金を借りて、その上に会社のお金も使い込んでいたので、グレイスは、自分の潔白を証明するためにお金を返してとシャノンに迫りますが、返すどころか、若い女を家に連れ込み、したい放題をしたために彼女は
頭に血が上り、彼をバットで殴り、地下室に落としてしまいます。
そのあと、自暴自棄になり、家から出て、サラに電話をしますが、遺体はなかったと言われ、グレイスは逮捕されてしまいます。
遺体がないとのことで、ジャスミンは殺人とは言えないと弁護し、裁判までもっていきますが、殺人の証拠がないだけで、殺していない証明は出来ません。
これが有能な弁護士だったら、彼女に殺そうという意思がないと証明できるのじゃないでしょうか?
彼にお金を戻してもらわなければならないのに、しかも、彼女が殴ったのは、お金を取るためにダマしたと告白したところなのですから、これからシャノンが動けないうちにダマした証拠を集めるなり、新たに警察に相談したっていいところなのですから。
無能なために、裁判をぶち壊してサラの家に行こうなんて考えもしなかったと思うのです。
ただ、ジャスミンの旦那様は警察官で、彼女の助けになろうとしていたので、次なる展開があり、グレイスだけでなく、シャノンに騙されていた十数人の高齢者を助けることになりました。
とてもスマートな展開ではないですが、ロザムンド・パイクの「パーフェクト・ケア」のようなお話でした。
人をだます人は、時間を掛けて、仕掛けてくるのだなと恐ろしくなりました。

