アカデミー賞がそろそろなので、第一次世界大戦下のドイツの戦争を扱った「西部戦線異状なし」を観ようと思っている前に、たまたま録ってあったこの映画をみてみました。どうしてベトナム戦争から帰って来た人にPTSDが多いのか、なぜこのような戦争をしなくちゃいけなかったのか、またなぜ、リバイバル公開されたのか、考えさせられました。

 

 

 

解説

ベトナム戦争の悲惨で過酷な真実を徹底したリアリズムで描写した、1987年製作の戦争ドラマ。ベトナム戦争に従軍経験のあるジム・カラバトソスが自らの凄まじい体験をもとに脚本を執筆し、BBCのドキュメンタリストとしてベトナム戦争を取材したジョン・アービン監督がメガホンをとった。1969年5月10日、アメリカ軍第101空挺師団は、南ベトナムのエイショウ・バレーにある丘・937高地で「アパッチ・スノー作戦」を開始する。しかし高地に陣取った北ベトナム軍からの容赦ない機銃掃射と手榴弾攻撃により、兵士たちは次々と被弾し命を落としていく。さらに豪雨や味方による誤射も重なって戦場は地獄の様相を呈し、10日間にも及ぶ過酷な攻防戦が繰り広げられる。名もなき14人の若きアメリカ兵を演じるのは、オーディションで選ばれたほぼ無名の俳優たち。その中には後に「アベンジャーズ」シリーズに出演するドン・チードルもいた。日本でも87年に初公開。

2021年4月、34年ぶりにリバイバル公開。

 

 

ベトナム戦争とは、

ホー・チ・ミンが建国した社会主義のベトナム民主共和国(北ベトナム)。これを認めないアメリカを始めとした資本主義国がベトナム南部にベトナム共和国(南ベトナム)を作り支援したところ、ソ連・中国を中心に共産主義陣営が支援。

南ベトナム国内では北ベトナムに支援されたゲリラである南ベトナム解放戦線(ベトコン)が活動して南ベトナム軍と戦っていた。
結果、1960年前後から1975年に南ベトナムの首都サイゴンが陥落するまで戦争が続いた。

 

 

 

「ハンバーガー・ヒル」の戦いは1969年5月10日から10日間。

第101空挺師団第3旅団187連隊第3大隊は、次の派遣場所が決まるまでのつかの間の休暇を南ベトナムの村で過ごしていた。

それまでも多くの兵士を失い、新兵が来たものの、使い物になるのか解らない者たちばかりだ。

この戦いの目的も解らないまま、国に帰れる迄、なんとかやり過ごそうと思っている兵士たちに、一番の激戦地への移動が決まりそうになる。

生きて帰るために、新兵に色々と仕込むベテランの兵士たち、

その判断も正しいのかどうなのか解らない。

ベトナムの空気には、危険なものが多いからとフッ素の入った歯磨きを推奨する先輩兵士。

気力を維持するために家族と連絡を取って、希望を持たせようとする先輩兵士。

他にも保険の書き方などで、訓練に力を入れている様子ではない。

 

キャンプのある場所は、水はけが悪く土嚢を作ってはいるが、足を取られて動きにくそうだ。

こんな場所やら、草の生い茂った場所ジャングル。どこも動きにくそうだ。

 

そのうちにエイショウ・バレーに配置が決まり、移動をすることになるが、慣れないジャングルの移動や野営で身も心も疲れ果てていた。

アメリカに残して来た彼女やパートナーにも愛想をつかれるほど、この戦争は、アメリカの中でも反戦運動がさかんになっていたようで、兵士を送った家族も疲弊しているようだ。


ヒルと呼ばれる937高地は、エイショウ・バレーのすぐ上なのだが、

そのヒルの上には、ベトコンが兵器を構えて待っていて登って来るものを狙い撃ち出来る状態だ。しかも奇襲もある。

丘の上から、固定された連射できる機関銃で撃ちまくられると

下から、どんなに抱えた機関銃で応戦しても、太刀打ちできない感じだ。

弾もすぐに尽きて、補充するが、それを持ってくる兵士も命からがらだ。

 

上るところは山肌が見えるような木の少ない場所で、狙い撃ちされるような場所だし、急こう配のようだ。しかも

雨が降れば、沼地のようになって、滑り落ちるし、身を隠すところも少ない。

 

ある時、報道するカメラマンとインタビュアーが現れた。どこから来たのか?

何回上り下りをしたのかと聞かれて、9回だよという医療担当のドク、

ちゃんと解るのは、この人くらい。声も独特なので、泥にまみれても解り易い。

あとの方たちは、殺され方がグロイし、

時には、頭を飛ばされて、認識票さえ見つからず、誰か解らないことも。

目を背けてしまう場面多しでした。

それに輪をかけて、味方の戦闘機の誤爆シーンもあり、すざまじいです。

 

このドクは、黒人じゃなかったら、この戦争に来なかったような事をいい、

白人の兵士たちに、なぜ戦争に来たのかと何度か問いかけます。

この人が一番、感情移入しやすいでしょうか。

 

数年前に公開された、

1966年8月オーストラリア軍のベトナム戦争を題材にした映画、

「デンジャークロス」

では、確か緯度や軽度を伝えて、爆撃をして貰っていましたが、それでも

ベトコンにおびえている様子はすごかったです。

 

1966年4月「ラスト・フル・メジャー」でも、ベトナム戦争には、苦労した様子が描かれていました。

 

この映画は、無名の俳優さんが多くてさながらドキュメンタリー映画のようでしたが、1987年に公開だったようですが、古さは感じられなかったです。