解説
イランの厳罰的な法制度を背景に、冤罪による死刑で夫を失ったシングルマザーの姿を通し、社会の不条理と人間の闇をあぶり出したサスペンスドラマ。テヘランの牛乳工場に勤めるシングルマザーのミナ。夫ババクは殺人罪で逮捕され、1年ほど前に死刑に処された。深い喪失感を抱え続ける彼女は、聴覚障害で口のきけない愛娘ビタを心の拠りどころにしている。ある日、裁判所に呼び出されたミナは、夫の事件の真犯人が他にいたことを知らされる。理不尽な現実を受け入れられず、謝罪を求めて繰り返し裁判所に足を運ぶミナだったが、夫に死刑を宣告した担当判事に会うことさえかなわない。そんな折、ミナのもとに夫の友人だったという中年男性レザが訪ねてくる。親切な彼に心を開き、家族のように親密な関係を築いていくミナだったが……。マリヤム・モガッダムとベタシュ・サナイハが監督を務め、モガッダムが脚本・主演も兼任した。2021年・第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。
2020年製作/105分/G/イラン・フランス合作
原題:Ghasideyeh gave sefid 映画com.より
この主演の方が監督や脚本もやられたそうで、イラン映画のレベルの高さを改めて感じます。
ミナは、まだ幼い子供のいる女性なのに、夫を冤罪で死刑にされます。
夫の実家から夫の貯金があるのではないかとか催促があります。
実は、大学の時の友達なんですが、まだ子供が小さいころに夫を亡くし、途方に暮れていたのに、夫の実家から夫の生命保険など財産を渡すように言われ、子供を取られるよりは、と思って財産放棄し、その代わりに孫と会わないことを条件にしたと聞いたことがありました。そんな娘も今は結婚して彼女はやっと幸せな生活を送っているようですが、そこまで行くには、新たに仕事を始めるとか色々大変なことがたくさんあったみたいです。
ミナも女手一つで子供を育てなければならなくなり途方にくれていた時に、冤罪だったことが解り、怒りを覚えます。
夫が罪を犯したなら、それでも誰を恨むことなく頑張っていこうと思っていたのかもしれませんが、冤罪となった事実を義弟と共に告げられ、保証金が出ることも伝えられますが、ことでそのことで、
義実家からの圧力がさらにかかって来ます。
ミナは保証金よりも何より、夫ババクを死に追いやったアミ二判事にあって謝罪をして貰いたいと思います。
そんな時に、夫ババクの友人で若いころに借金をしていたという男性レザがやって来ます。
なぜ今頃来たのかと言いますと、新聞でババクの事を知り、世話になったお金を今こそ返したいと言います。
お金のことでもあるので部屋に入れて話をしたところ、大家さんから、男性を家に入れるような人には部屋を貸せないと言われ、早急に退去しなければならなくなります。
こうやって、イランでの女性の生きづらさを映画では、淡々と描いていきます。
ただ、娘のビタは、耳が聞こえない障がい者ですが、映画が大好きです。
イランの映画は、きっとみんな字幕がついているのですね。
これは、障害を持っている人には優しいですね。
でも、ビタはまだ7歳なので、父親のことをちゃんと知らされていません。母親がまだ夫の死に納得出来ていないので、話すことも出来ず、旅行に行っているなどと話しています。
ミナは新聞に冤罪に対する謝罪を求める広告を出します。
そうでもしないと辛いからなのでしょう。
一方、ミナが不動産を探している時にもレザが自分の持っている不動産を貸すと言い出します。
こうやって、どんどんレザは、ミナを助けていきますが、
家では、兵役に行くような息子がいます。
彼の力で、兵役を免除できると言いますが、そういう父親と離れたいと兵役に行ってしまいます。
この後も、ミナが一人で生きていくのが大変なことが沢山出て来ます。
例えば、働いていた牛乳工場もクビになりますが、クビの方がいいと言います。そういう投げかけられる出来事を興味を持った方がいらしたら、ご覧になってください。
この映画の最後は、観ている人に委ねられているようです。
イランでは、3館で公開されたあと、公開禁止になったそうです。
色々と問題を上げていますが、どこの国にも問題はあるかと思います。
冤罪は、あってはならないことです。
どんな小さな事でも誤解されたまま人生が辛くなるようなことは、あってはならないと思います。

