施設から、帰ってきた父に目が回る

デイサービスから帰ってきて
なんかわさわさしていると思ったら
「送ってきた運転手さんの名前を忘れた」
と大騒ぎ
あまりに一心不乱に探す。
出てくる出てくる人の名前
運転手さん、何人いるの？
私もどこかに
スタッフの一覧表がないかと
ファイルを
端から捜していると
父
「思い出した！　Kまさんだあ」

安心したのか
クッキーを頬張る

「このクッキー美味しいよ」と
箱を逆さにして、全部食べちゃった。
次に
蜜柑を食べながら、手紙を書こうとする。

「汚すから、食べる時は食べるだけにして」
と言ったら、一個平らげて

「そうだ。
漢方薬を持って行きそびれたから、
帰ったらすぐ飲むようにって言われた」
って、
予備の薬を入れてある箱を開けて
予備のを飲もうとする。
　最終の手段でしょう
私は納得がいかないので、
デイサービスに持っていったバッグを
探そうとするのに

「すぐ飲むから、お水。お水」
だって、
あっという間に
飲んじゃった。

そのそばで、私はバッグをガサゴソ

薬用の小さな袋には錠剤だけ
連絡帳の入った袋も同じデザインなので
よーく見てみると
連絡帳と連絡帳のあいだに
漢方薬、ありました。

98歳になっても、こんなに落ち着かない？
慌てるから、見つからないだけでしょ。