あらすじ
身重の妻と小さい娘がいるアルジュン(デヴ・パテル)は、インド・ムンバイの五つ星ホテル、タージマハルで、厳しいオベロイ料理長(アヌパム・カー)のもと給仕として働いていた。2008年11月26日、ホテルには生後間もないと赤ちゃんとシッターを同伴したアメリカ人建築家デヴィッド(アーミー・ハマー)や、ロシア人実業家のワシリー(ジェイソン・アイザックス)らが宿泊していた。
冒頭、怪しい人たちが舟でやって来る。それぞれがタクシーに分乗し・・・それぞれのテロ目的地に向かう。駅、カフェ、ホテルと行先を伝えるテロリストたち。その最初のテロの場所は、本当に誰もが出入りできる場所。
しかも駅のテロの様子なんてホテルにいる人がニュースで見ていたりして、まるで、火事の飛び火を貰ってしまうように、このタイトルにある
ホテルにやって来る。
その恐怖は、どうしたら身を守れるか、逃げられるかなのに、このタージマハルホテルの従業員たちは、お客様のために誘導しようとする。
この日2008年11月28日
このホテルには、二つのビップが宿泊予定、一組目はインドのビップの娘がアメリカから夫と幼い乳児とともにやって来る
もう一人は、ロシアの金持ち、女性たちを集めてパーティをする予定のようで、ホテルはてんやわんや
アーミー・ハマーが今回はアメリカ人の役。「コードネームUNCLE」でロシアのスパイの役をやった彼がこんどは、アメリカ人らしい役で
今回ロシア人役をやっているのは、ジェイソン・アイザック
その一方でカフェなどで逃げ惑う旅行客たちも描いているので、その場、その場で自分と置き換えて、ハラハラする。
また従業員も給仕として働くアルジュン(デヴ・パテル)をはじめとして、それぞれの持ち場で頑張る人たちもちゃんと描かれていて
それぞれに難しい選択を迫られ胸が詰まる思いだ。
デヴ・パテルは2008年公開の、「スラムドッグ$ミリオネア」にも主演をしていて、アカデミー賞の会場で見た時は、なんかまだ幼かったのに
しっかりと家族を養うシーク教の教徒でターバンを巻いています。子供の時から外出時には、ターバンをはずしたことが無いと言うセリフが出てきます。どういう宗教なのか、テロリストと同じ宗教なのか、相反する宗教なのか、解りませんが神を信じて献身的にお客様を
守りますが、ホテルでの地位が低いため、補助する位置で健闘します。
そういう立場をよく演じているので、より一層ドキュメンタリーを観ているようです。
では、誰が、この場を指揮しているのか料理長のオベロイ、5つ星ホテルならではの多国籍のお客様に対して、その場、その場で
的確な判断を下して行きます。
この時期、まだインドでは、特別救助隊は、デリーにしかなく警察も手の施しようもなかったと言うニュースも流れますが
たった数人ですが、訓練されたテロリストを制圧するのが、かなり困難だと言うのが解り、絶命的な気分にもなります。
首謀者はどんな目的があったのでしょうか。同じ宗教を信じていたら助かったのでしょうか。
テロリストたちも貧者であり、救いを求める者たちであり、家族を助けるための若者であり、被害者たちは、人間じゃないと
教え込まれ、相当な武器でテロを続行して行きます。
彼らにも救いを求めながら、テロがやむことを願うとても複雑な心境にさせる映画でした。
テロの背景が明確にされぬまま首謀者も見つからずに終わってしまいますが、
最近、流れたニュースに韓国の映画「殺人の追憶」で扱われた殺人者のDNAが見つかったとか、
何か目的が明確にされぬままの未解決事件の怖さをまざまざと見せつけられました。
あとは、ホテルに火をつけられたり、爆発を起こさせられたりして逃げ惑う宿泊者たちに
30年以上まえの赤坂ホテルニュージャパンの火災を思い出させられました。
人それぞれどうやって対処するのか考えさせられる映画でした。

