解説

1950年代、アイルランドからニューヨーク・ブルックリンにやってきた移民の少女の青春や揺れ動く心を、「つぐない」のシアーシャ・ローナン主演で描き、第88回アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされたドラマ。脚本は、「ハイ・フィデリティ」「アバウト・ア・ボーイ」の原作者で、「17歳の肖像」「わたしに会うまでの1600キロ」などで脚本家としても活躍する作家のニック・ホーンビィ。監督は「BOY A」「ダブリン上等!」のジョン・クローリー。大人しく目立たない性格の少女エイリシュは、妹の将来を案じた姉の勧めで、アイルランドの小さな町からニューヨークへとやってくる。それまでとはあまりに異なる大都会での生活に戸惑うエイリシュは、しかし、イタリア系移民の青年トミーとの恋をきっかけに大きく変わっていく。洗練されたニューヨーカーとして生き生きと日々を過ごすエイリシュだったが、そんな彼女のもとに故郷からある悲報がもたらされる。
 
 
久しぶりに映画を観に行きました。
1950年代と言うと、日本では今、朝のドラマでやっている「トト姉ちゃん」の頃でしょうか?
主人公エイリシュは、控えめな少女で、待遇が良いとはいえないパン屋で働いています。目立たないタイプなので、男性との出会いも望めないと本人は思っているようです。
家には、美人で仕事を持って自立しているし、ゴルフの仲間もいると言う優秀な姉と母親がいる。
お姉さんは、エイリッシュの将来を案じてアメリカにいる牧師に相談して彼女の
就職の世話を焼く。
エイリッシュは、姉に勧められるまま、米国に渡る。米国に渡る時もあどけなさが残るおどおどした感じの少女であったが、船室を共にした女性から、アメリカに着いたらアメリカ人のようにふるまわなければならにと教えられる。
牧師の計らいでデパートに職を得て、下宿先で先輩たちを過ごすことになる。
下宿先の女性たちは、かなり派手で、エイリッシュは、ちょっと浮いた存在のようだ。
それでもしばらくは気丈に頑張っていた彼女もホームシックにかかり、牧師から
夜の会計学の大学に行く事を勧められる。
 
そしてアイルランド人が集まるダンスパーティに自分より後輩を連れて行く事に
なり、そこで、イタリア系のトニーと出会う。
エイリッシュが一目で気に入ったようで、彼女とのつきあいを大事に温めて行く。
トニーの家に行くシーンも家族全体があたたかい感じだ。
 
トニーと付き合うことによって、気持ちがほぐれてアメリカになじんでいく
エイリッシュ
会計学の夜学では、男性ばかりなのに、トニーをどんどん好きになるのは、
彼の温かさ故なのかもしれない。
配管工と聞いた時に、会計士をめざす女の子と配管工では、釣り合わないのじゃないかと思ったが、彼はただ配管工を仕事としてやっているだけではなく
大きな夢を持って仕事に臨んでいる。全体に前向きな彼に引かれていったのかもしれない。
恋も仕事も順調になって来た頃、故郷から思いがけない訃報
 
戻ったアイルランドで、彼女は仕事も出会いも得ることとなる。
もし、アメリカに渡る前に、こういう状態になっていたら
アメリカには、わたらなかったかもしれない。
けれど、アメリカに渡って、違う世の中を観て来た。
 
自分では予想もしなかったエリート集団の中のジムとの出会い。
教養もあり、家柄もいいジム、何よりエイリッシュを気に入ってくれている。
束の間、トニーのことも忘れて。アイルランドにどっぷりつかっていた彼女だが
彼女は、アメリカを立つ前にトニーと結婚をしてきている。
なにもしらない母親は、ジムとのつきあいを勧めるが
彼女は、どちらかとの選択をしなければならくなる。
 
トニーは、アイルランドに滞在しているエイリッシュに何通も手紙を書くが
返事は一通しか来ていない。
そこで、文字がちゃんと書ける弟に添削を頼む。
 
ジムは、彼女に生活に困らないような生活を保障はするが、一生このアイルランドから出ないかもしれない。
まさにアメリカで見た海とアイルランドで見た海の違いほどある二人の男性。
 
何十年も先、彼女はどう思うのかなと思ったけれど、
これが良い選択になるのも彼女次第なんだろうと思う。
 
余談ですが、トニーと彼女、最初のうちは、彼女の方が大きくて
彼が小さく見えましたが、最後の方では、彼女、低い靴に替えて
彼に寄り添っていましたね。
 
自分がしっかりしていれば、男性に頼らず、パートナーとして見られるんでしょうね。
彼もポジティブな思考のようで、良い家庭が得られるのではないでしょうか。