「セールスマン」と言うイラン映画を以前観た。
「セールスマンの死」を読んでいなかったため、未消化な部分があったのを
思い出して図書館で借りて読んでみた。
60年以上も前の作品だと言うのに
今に通じるものがある。と言うより高齢者が増える今こそ
読んだら共感する人が多いと思う。
60歳を過ぎてなお、家のローンのためにセールスマンを続ける
ウィリィ・ローマン
30歳を過ぎても自立出来ない2人の息子
長男ははかつてスポーツで大学に入れるほどの選手だったが、
自信の才能に溺れ、学力をないがしろにしたため鳴かず飛ばず状態である。
次男は、そんな兄を見ていたせいか目の前のことしか考えられない。
父親は、成功した身内のようになれとばかり子供たちを追い立てし、そうすることが
良い教育だと思っている節がある。
母親は、そんなお父さんのいいところだけみるようにして
色々なことに耐えて生きている。自ら切り開こうとはしていない。
そんな家族の物語だった。
ローマンはセールスマンを続けてきても
年を老いてくると今までのお得意さんも年を取って来て
同じようによい御客とはならない。若い時と同じように仕事が出来ない。
身体にも頭脳にもガタが来ていて
同じように頑張れないのにうすうす気がついて来ているが
ローンの返済が終わるまでは仕事を続けなければならない。
夫が定年を迎え
友達のダンナさまと同じように65歳まではなんとか働けるものと思っていたが
やはり60歳の坂はキツイようだ。
うちの夫は特に
仕事以外の休みの日もゴルフ三昧だったので
身体が動かないなんて思ってもいなかった。
だが、だいたい60歳くらいで物忘れが多くなった。
運転していても見えていないものが多く危なかったしくて
助手席はまさに助手そのものだった。
60歳すぎたダンナさまのことを友達はあまり語らない。
愚痴も言わない。(言っているうちが花なのかも)
65歳を過ぎたダンナ様たち、突然倒れたり、検査入院したり
なかなか大変なようだ。
そしてわが弟たち
60歳を過ぎても年金が出ないから頑張って働いている義弟
介護にはほとんど手がだせないのか、奥様まかせ。
60歳すぎても働くしかないと言う実弟も
都心までの通勤は辛いと言っているらしい。
弟の場合、今は介護に潰される時間も多いからね。
どんどん年金の開始年齢が遅くなるので、どうなることやら。
そんな現実を踏まえて読むと
このセールスマンの辛さがひしひしと伝わる。
命をかけてまで守った家族
こんな守り方で終わるのは辛すぎる。
