[ジオおおのがたり3(I-1-1)]原尻の滝 | いっちきち!やっちきち!豊後大野

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大分県のなないろベース(豊後大野市青年団)のブログです。活動のこと、豊後大野市のことを紹介します!

こんばんは、事務局です!

まず、本題の前に事務連絡です。
以前よりご紹介しているブログ記事移行(旧ブログ記事→現ブログへ移行)についてです。
昨夜、2010年5月分を移行完了!
引き続き、翌6月分以降の記事も随時移行いたします(「以降」だけに「移行」…(苦笑))。
移行記事もどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
なお、FBページでは移行記事について随時紹介中です!
ぜひこの機会に、いいね!フォローをお願いいたしますm(__)m
※FBページ→http://www.facebook.com/nanairo.base/


さて、本題!
今回はジオおおのがたりです!
トータルで3回目。章立てでは、I章:阿蘇火砕流-1.滝-1.※今回ご紹介の滝…です。
今回から2回、ジオサイトを個別紹介いたします!


さあ、みなさま!
「豊後大野市を代表する観光地といえば??」
10秒間時間を与えます。ご回答をどうぞ☆

…Time up!(Laugh)

おそらく、多くの方が、以下の観光地を挙げられたのでは??

どこか分かりますか??
よく見かける画像でしょう。

…そう、「原尻の滝」ですね!
ご存知の方、そして実際に訪問された方も多いはずです!
今回はこの原尻の滝について、ジオ的観点も踏まえながらご紹介いたします♪

【目次】
(1)概要(自然面)
(2)人との関わり
(3)おもしろエピソード


(1)概要(自然面)
まずは、原尻の滝はどのような滝かを確認しましょう!
▽なないろベース特製看板より(笑)
 ○で囲んでいる辺りに、原尻の滝があります。緒方町、豊後大野市の南西部です。
 近くには道の駅もあり、観光・アクセスがしやすい滝です!

緒方平野に突如として現れる大きな滝!
その勇壮さから、「東洋のナイアガラ」と称されることも。
幅120m、落差20m(ビル5階分)の存在感ある滝は、必見!

▽少し遠くから眺めても、圧巻!

▽最近は、ライトアップもされました☆(弊ブログでも紹介済み)

さて、みなさまここで疑問を抱きませんか??

「この滝はどうやって出来たの??」

この答えは、実は前回のジオおおのがたり(I-1)でご紹介したとおりです!

簡単に説明すると…
「9万年前の阿蘇火砕流(Aso-4)が冷えて固まる(溶結)→柱状節理ができる→雨など水の力で柱状節理が削られる→崖=滝の完成」
…という理屈です!
(※原尻の滝など豊後大野市内の滝は、上記の形成過程です。滝の形成過程は、他にもございます。)

こうして、水力で柱状節理(岩肌)が削られ滝が形成されるということで、実際に原尻の滝をご覧ください♪
▽滝つぼ付近。よく観ると、下の部分に柱状節理&川に接した部分が削られているのを確認できますでしょうか??

▽川下方面を眺む。川に岩が転がっているのを確認できますか??
 この岩、実は滝にあった柱状節理が川に流されたものだと言われます。
 
実は、現在でも滝壷が削られている=年に数cmほど滝が川上方向へ後退しているというお話も!?
上記の通り、現在でも滝が削られている(侵食作用)ことが現地でも確認できます。
また、現地のガイドさんいわく、「明らかに10年前と、滝の形が変わっちょる。」と面白いお話も。
このように、原尻の滝ジオサイトでは、侵食作用を進行形で確認できる場所といえるかもしれません!

また、滝の上をチェック!
こちらでも、面白い現象を確認できます!

▽滝の上では、岩に丸い穴(凹)を確認できます。
 この穴(凹)を、「甌穴(おうけつ)」(ヤルダン)と呼びます。
 これも、水の力で岩が削られた痕跡です!(洗濯機のように、水流が竜巻状となり岩を削る。)
 
このように、自然(地学)面でもよいモデルとなる原尻の滝。
壮大な滝(自然)に触れ合ってみませんか??



(2)人との関わり
さて、ジオパーク活動で大切なことは、「自然遺産(自然そのもの)+人との関わり(活用)です!
この原尻の滝と人との関わりを考えてみましょう♪
「原尻の滝を、人はどう活用しているの??」
{原尻の滝があるおかげで、人にどう役立っているの??」

1)観光面
冒頭で紹介した通り、いまや豊後大野市を代表する観光地・ジオサイトとなっております!
その壮大さが人気の秘密のようです!
このように、豊後大野市の宝・自慢として、大切にされております。
また、この原尻の滝を目当てに、毎年多くの方が観光に訪れます。
原尻の滝はじめ、その周辺でも観光イベントも開催!
チューリップフェスタ(毎年4月に原尻の滝周辺で開催)

 
小松明火祭り(毎年8月のお盆時期に開催。)
 今年は、原尻の滝そばで夜神楽奉納も!
 
観光という面で、原尻の滝は大きな役割を果たしています!


2)民俗面
さて、原尻の滝より川上方面をご覧ください。

「あっ、何で川の中に鳥居があるの??」
実は、この地域に伝わるお祭りに関わりがございます。

川越しまつり(毎年11月に開催)
  
寒い夜、冷たい川の中を、ふんどし姿のたくましい男衆が神輿を担いで渡ります。
勇壮ですね!!

「なんで川を渡るの??」
この地域には、3つの神社・ご神体(父・母・子)が鎮座しております。
年に1度、3つのご神体(家族)が一同に集います。
しかし、この神社の間には、川(原尻の滝)が流れております。
そこで、男衆がご神体(神輿)を担ぎ、川を越すのです。
川(自然)というものがそこに存在するという運命。
しかし、だからこそ人は考えた。そして、川越し祭りが誕生した。
観るものにとっては、勇壮な光景がそこにある。
また、お祭りを開催する側は、川があるからこそ、「それぞれの神様が会いたがっている」「年に1回の再会の場面を大切にしたい」という気持ちがもしかするとあるかもしれません(あくまでも当方の推測ですが… )
こうして、民俗面でも原尻の滝の存在は大きいです。


3)生活面
「川越し祭り(ハレの日)以外で、原尻の滝と人はどう関わっているの?」

緒方町を歩くと、こうした光景をよく見かけませんが??

 
…水路、水車といった、「緒方井路」ですね!
水を引いて(灌漑)、田畑を潤します!
「岡藩の米どころ」とも呼ばれる緒方平野。
稲作が盛んなのは、この井路の存在が大きいです!
まさに、自然を活用した人間の知恵ですね☆
▽原尻の滝の近くに、堰がございます。ここから水を引きます。
 

また、毎年1月に行われる消防団の出初式。
第2方面隊(清川・緒方)の放水訓練は、原尻の滝で行われます。
 
放水訓練はもちろん、もし火災があった際に、この原尻の滝の水が使われることもあるでしょう。
※もちろん、火の用心です!

このように、人間生活でも原尻の滝の存在は大きいものです。
ジオパーク活動において、自然を活用した人々の活動に今後も注目ですね!



(3)おもしろエピソード
最後に、原尻の滝に関するおもしろ(!?)エピソードをご紹介いたします!
これを知ると、もっと原尻の滝がおもしろくなる!?

1)意外と身近に!?こんなところにも柱状節理!
 (1)で、滝つぼや川中で柱状節理を確認できると紹介いたしました。
実は、これ以外の場所、陸上でも原尻の滝の柱状節理を一風変わった姿で見ることができます!
▽原尻の滝展望台近くにある石のベンチ
 実はこれ、原尻の滝の柱状節理なんですよ!
 よそから持ってきた石ではなく、原尻の滝産☆
 柱状節理をスライスして完成したものです!

▽また、展望台の足元にも注目!
 単なる石の模様だと思ったら間違い!
 これも、原尻の滝の柱状節理
 床に埋め込まれたり、実はまっすぐ垂直に柱状節理(鉛筆・さ○るチーズ状の岩)が伸びていたり。
 これは、ガイドからの説明がないと気づかないことでしょう♪

2)滝そばの石垣
滝の川上、水田を水害から守るための石垣がございます。

当初、コンクリートで作っていたそうです。しかし、水害で崩壊。。。
そこで、原尻の滝産の石を使用!( 1)に通ずる!)
すると、水害にも負けず、今も頑丈に構えているそうです!
やはり、地産地消ではございませんが(笑)、地元には地元の素材がしっくり来るそうです!

3)虹!
原尻の滝では、しばしば虹も出現!
晴れた昼下がり、滝上から…!?※滝からの落下事故に要注意!!
なお、先述の放水訓練でも、天気がよければ虹が出現するそうです!
 
4)大手ビール会社との契約栽培
滝そばには、チューリップ畑・水田だけでなく、麦畑があることもご存知でしょうか?
この麦畑では、大手ビール会社のビール用の麦が栽培されているそうです
この地に契約栽培麦畑があるのも、この地の水がよいからだそうです!
大手企業からも注目されている豊かな自然…これは豊後大野の自慢・宝ですね



…と、以上が原尻の滝の紹介です。
あらゆる観点より、少し詳しく紹介いたしました。
原尻の滝は自然・人文両面で注目すべき点・面白い面がたくさんございます!
今回様々紹介いたしましたが、何よりも大事な(こちらが願う)ことは、
「実際に現地にお越しくださる、そして現地で直接ふれあう・感じてくださる」
…ことです☆
やはり本物のジオサイトは迫力満点ですし、各自で感じることは異なりますので☆
(今回紹介したことは、あくまでもこちら側の視点です。あくまでも参考程度に…ということです
今後のジオおおのがたりも、この点を大切にしていきます!


最後まで読んでくださりありがとうございました
今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m