自宅に特殊自動車がお迎えに来て、斎場に向けて出発した。
途中、自宅にいるよりも長い時間を過ごしていた病院に立ち寄ってもらった。
自宅から病院への道のり・・・私のスマホでMASHの曲をかけた。
すると運転手さんが「マッシュですね」と一言いった。
見慣れた景色。
入院中、娘に会うために何百回も何千回もその道を走った。
いつも胸が締め付けられるような気持ちで走った。
鍵のかかった病棟の向こうにいる娘を思うと、ほんとうにつらかった。
そういった記憶が思い出され、隣に乗っている冷たくなった娘にすがって泣いた。

病院の前の通りには、ワーカーさん達が待っていてくれた。
主治医の先生も走って来てくれて、お別れをしてくれた。
「良かったね」

斎場に着くまでずっと泣いた。
亡くなってからずっと泣かなかったけど、この時はじめて涙が出た。

斎場に着くと、友人があらかじめ飾ってくれた娘の写真がいっぱいだった。
たった半年前に母を送ったときと同じ式場・・・
そうか、私はたった半年のあいだに母と娘を見送ることになったんだと思った。

到着後、湯灌の儀・・・
湯灌はこの世の苦しみ悩みなどを洗いさるという意味もあるそうだ。
父親と私と息子と三人が立ち会った。
私たち家族もお湯をかけ、身体を洗ってやった。
洗髪やお顔剃りをしてもらい、娘の成人式のときの振袖を着せてもらった。
とても華やかな娘になった。
納棺してしまえば、もう娘の体に抱きつけないので、抱きついて写真を撮った。
そしてピンク色の棺に納棺した。

祭壇周りはピンクの花で彩られ華やかになっていた。
仕事関係や、息子の関係、私の友人などたくさんの方が供花をしてくれて、いっそう華やかになった。
華のある娘の旅立ちにふさわしく、感謝しかない。
お花を供えてくださった皆様、本当にありがとうございました。