イチロー、“チチロー”と作り上げた打撃の原型 | 浜のおじさん&週末はオリックス親父( ̄∀ ̄)のブログ
 イチローは少年期に、父・宣之さん(76)と二人三脚で打撃の原型を形成した。
 練習では一風変わったトス打撃を繰り返した。通常のトス打撃は下手からの緩い球を同じ間隔で打つ。しかし、イチローのそれは父の全力投球を打ち返すものだった。希代の大打者になった今も当時のトス打撃を「速かった」と回想する。
 惰性でバットを振らないよう、全力投球の中にスローボールも交ぜられた。リズムを変えて突然来る緩い球で反射神経が発達した。このメニューでは両手が左肩近くで保たれる、イチローの打撃で最も特徴的な動きも形作られた。
 前方に体重移動する際、グリップはぎりぎりまで頭の後方にある。前に踏み込みながら力をため、最後の瞬間に両手が投球に最短距離で出る。グリップが残っていることで変化球や緩急への対応が可能になった。
 本人は「最終的に腕が(頭の後ろに)残るから前に動けばいい。動いてこっちに来るもの(投球)をじっと待っていても反応は良くない。テニスでも、じっとしているところから速いサーブを打ち返すのは難しい」と極意を説明する。世界最高の広角打法の技術は、父子による傑作でもあった。