J side


「そもそもさ、この車買ったのだって

潤の為みたいなもんだし。」

「は?俺の為・・・?」

「全然会えないのってバイトで帰りが遅くなるせいだろ? 

車さえあれば俺が迎えに行ってやれるし

潤がバイトで疲れてたって、俺が家まで送ってやればいいんだから、その間、少しでも会えるじゃん。車があれば解決じゃんって気付いて即行動よ。」

「・・・俺の為?・・・そんな事の為に、わざわざ車買ったの?」

「そんな事ってなんだよ、俺には大きな理由だわ。」

「そんな事だよっ、バカじゃない?」



ねぇ翔くん、わかってる?

さっきからどれだけ酷な事言ってるかって。


俺の為に考えてくれてるなんて嬉しくて

だけど抑えなきゃいけない気持ちが溢れるから苦しくて



勘違いしちゃいけない

もう期待なんかしちゃダメだって思うのに

思わせぶりな事ばかりするから

また前よりもっと好きになっちゃうんじゃん。



俺の事なんてそういう好きじゃない癖に

やっと出来た彼女、いる癖に。


 頑張って頑張って

翔くんを忘れるよう足掻いて足掻いて

無駄な抵抗して


やっぱり会いたくて

会って顔見たらすぐに

翔くんに気持ち全部持ってかれて

こんなに好きだって思い知らされて


それなのに

叶わない想いを消し去る為に

また一からやり直ししなきゃいけないんだよ?



だからさ

俺の為だなんて


そんな簡単に言わないでよ。



これ以上翔くんを

好きにさせないでよ。




「バカじゃねぇよ。」



いや、バカでしょ。  



相手、間違えてんだよ。



俺の為なんかに車買うのもおかしいし

バイトの迎えするって発想も

今俺にやってる言動もおかしいんだよ。  



バカじゃなきゃ何で



「潤・・・」



何で

俺に覆いかぶさって

ギュウギュウに俺を抱き締めながら



「翔くん・・・?」




何で

何で俺に




「・・・んっ、あっ・・・」  




久しぶりに会った愛おしい恋人にするみたく

キスしてんだよ。