潤くん、お誕生日おめでとうございます♡

このお部屋もご無沙汰ばかりですが、潤くんのお誕生日に

今回はライトなお話を・・・。

切なくなく、苦しくもないやつです。

(ちょっとだけふざけてます。)



↓↓↓






「翔ちゃん、もう食べないの?」




同僚の雅紀が

怪訝そうな顔して俺を見る。




「ん?ああ、ここんとこ食欲がなくてさ・・・。」

「・・・っ!」

「雅紀、唐揚げ好きだよな?」

「うん、大好きだけど・・・」

「食べ残しで悪いけど、良かったらこれ食べていいよ。」

「・・・っ!!!」




--ガッシャーン




雅紀が勢いよく立ち上がったせいで

座っていた椅子の倒れる音が社員食堂に響き、昼食を摂っていた他の社員達が、一斉にこちらに注目する。



「ちょっ、何やってんだよ・・・」

「翔ちゃんっ!!」

「はい?」

「今すぐ病院へ行こう!!」

「何で?」

「何でって、わかんないの!

いいから、早く!」

「いや、お前の話の脈絡、全くわかんねぇよ。」



雅紀は良い奴だけど、こういう突拍子もない事を言う所があって。

入社式で彼と知り合ってから数年。

いい加減慣れてきたけど、俺みたいに常識の範囲内での思考回路しか持ち合わせていない者には到底彼を理解までは出来ず、なかなかに刺激的だ。



「翔ちゃん頭いいんだからわかるでしょ!

いい?

いつも人の分までモグモグ頬張って食べる翔ちゃんが、最近あんまり食べないからおかしいと思ってたんだ。それどころか遂に俺に分け与えようとまでするなんて、きっとどこか悪いに違いないって!」

「はいぃ?極めて健康だわ!」



どんだけ俺を食いしん坊キャラだと思ってたんだよ。

それにそこまで意地汚く・・・ないはずだ、多分。



「・・・グスッ、やだよ翔ちゃん・・・俺を置いて先にいかないでよ。

翔ちゃんが居なくなったら、俺、俺・・・っ!

一体誰に提案書の間違った漢字変換、直して貰えばいいんだよ・・・」

「そんなの自分でどうにかしろよ。」

「俺には無理だよ、漢字嫌いだもん。」

「お前ねぇ・・・。って、そもそも居なくなんねぇわ、大袈裟な奴だな。」

「やだー、翔ちゃん、あっちの世界にいかないでー!!」

人の話を聞け!

それから声のボリュームもっと抑えろ。

みんな不審そうにこっち見てんだろ(ボソッ)

「翔-ちゃーーーん!!おーいおいおい(泣)」

「・・・・・・」



騒がしい雅紀のせいで、更に突き刺さる周りからの視線に、いよいよこの場に居ずらくなる。



「天誅。」

「あぐっ!」



唐揚げの残りを、ヤツの口の中に一気に放りこんで昼食を切り上げると、引き摺るように雅紀を連れて、食堂を後にした。




「待っでよ、しょ・・・おぢゃん・・・、唐あげぐぁっ、苦し・・・」

「んなもん、早く噛み砕いて飲み込んでしまえ。恥ずかしいヤツめ。」

「むぐ・・、もぐ・・・ごっくん。

・・・ちょっ、ねぇ酷すぎない?俺は友達として心配してるだけなのに!」



余程苦しかったのか、雅紀は涙目で喚きながら訴えてくるけど、ハイハイと適当に相槌を打って聞き流す。



何がそんなに雅紀を心配にさせるのか?


俺には悩みなんてないし

体力と健康には自信しかないし

たまたま少し食欲が減退してる以外、何も問題ない。



全く、人騒がせな男だ。

友達想いな良い奴だけど、トンチンカンな理由で周りを振り回すのは止めていただきたい。




「あ・・・っ!」

「あ、じゃねぇよ。俺は元気だし何処もおかしくねぇっての。」

「そうじゃなくて!

ねぇ翔ちゃん、あれ松本さんじゃない?」

「えっ?、どこどこ?!」



いや、・・・あったな。



「松本さーーん!!」

「えっ、ちょ、待てって!

いきなり名前呼ぶなよ!まだ俺の準備が・・・」

「どうして?松本さん呼ぶのに何の準備がいるの?」

「いや、だから、よくわかんねぇけどだな・・・」



そういえば、おかしいとこあった。




「相葉さんと櫻井さん。

お二人とも、もうお昼は済まされたんですか?」



ドクドク・・・



俺と雅紀を見て微笑むこの松本さんに会うと、途端に俺の鼓動はこうして速くなるんだ。




「うん、今済ませてきたとこだよ。

ね、翔ちゃん。」

「ん?・・・ああ。」

「何だ・・・、もう少し早く来たらお二人と一緒に食べられたんですね。」



松本さんが俺に向かって、特に残念そうな

顔をして見せた・・・ような気がする。



ドキッ!

ドドドッ・・・



む、胸が苦しい。

心拍も乱れ打ちだ。


これって動悸息切れじゃないよな?

俺、まだそこまでのお年頃じゃないよな?

なんて、ちょっと心配になるレベル。


雅紀と松本さんにバレないようにそっと深呼吸して、息を整える。



「ま、松本さん、昼飯まだなの?」



やべ、ちょっと声が裏返っちゃったよ。


平然を装うように放った言葉も

平然じゃなくなっちゃってる。



「ええ。せっかくなんで今日の打ち合わせ前にこちらの食堂でいただこうかと思ったんです。

『本当は社外の人間はダメだけど、松本君は使って良いぞ』

って大野課長に先日許可いただいていたので、図々しく甘えてみました。」



"てへっ"なのか

"きゃはっ"なのか

そんな効果音が似合う松本さんの無邪気な笑顔に俺は、どれだけの財力があれば、社員食堂ごと彼に買い与えてあげられるのかと無意識に考えていた。




松本さんが勤める旅行会社とうちの会社は

社長同士が旧知の仲という事もあって

長年に渡り取引があるらしい。

社員旅行のプランニングから福利厚生のアミューズメントパーク入場チケットの手配なんて細々した事まで、当社担当の松本さんが一手に引受けてやってくれている。


企画部の俺と雅紀が、仕事上接点のない松本さんと知り合いなのは何故かというと・・・


元々何故か気の合った、総務課の大野課長と俺達が、どうでもいい事で立ち話をしている時に偶然現れたのが松本さんで

(偶然と言っても大野課長に仕事の用件があって来社した訳だけども)


人懐っこい雅紀が彼にやたら話し掛け、優しい松本さんが丁寧にそれに受け答えをして

それ以来、こうして会えば会話をするようになっていた。




それにしても大野課長、何が松本君は使って良いぞだよ。会社はあんたの私物かっての。

松本さんにカッコつけて、ちゃっかり点数稼いでんな。

・・・無性に面白くない。




「翔ちゃん、顔赤いよ、熱でもあるんじゃない?」



大野課長に苛立ちながらも、ついつい松本さんをチラ見しては動悸が治まらない俺に

また心配そうな顔した雅紀が声を掛けた。

そういえば、血流が良くなってきたのか

顔がポカポカする。



「本当だ・・・、おでこはそんなに熱ある感じじゃないですけど、頬が熱くて真っ赤じゃないですか。」



不意に松本さんに触れられた額。

更に俺の頬まで辿ったその手の感触。

いつもより近くで見つめられるその麗しい瞳。




・・・・・・っ!!!!




体温と脈拍の激上がり急上昇と共に

俺の心臓は、動悸どころか

破裂してしまったのか?

弾けるような衝動を感じた後

身体がフリーズした。



今の俺を例えるなら

頬っぺの赤い蝋人形みたいな感じだろうか。




「・・・っヤバい!

この後二宮先輩に呼ばれてたんだ。

あの人遅れると怖いんだよねぇ・・・。

ごめんね翔ちゃん、先に行くね!

松本さんも、またねー!!」

 



耳に雅紀の言葉は入ってきてるし

視界にあいつが走り去る映像も捉えてるのに

俺はまだ夢現みたいな状態で、即座に反応できずポヤンとしていた。







長くなったので続く・・・

18時に上げます。