J side
『松本は、俺が好きなの?』
優しく髪を撫でながら、社長は熱い眼差しを僕に向けた。
ヒートだからだけじゃない
ときめく心に胸が高鳴る。
やめて
見つめないで。
そんな風に真っ直ぐ向き合われたら
僕はもう、自分を欺く事が出来なくなる。
言いたくない
こんな事・・・伝えちゃいけないんだ。
『すき・・・大好き、ずっと・・・はぁはぁ・・・』
なのに、溢れ出す想いと
ヒート状態で理性なんて機能しなくなっている僕は、ポロポロとずっと秘めていた気持ちを口に出していた。
『どうして言わなかったんだ。』
言わなかったんじゃない、
言えなかった。
いけない事だとわかっているから。
『だって、僕には・・・カズが・・・・でも、社長が・・・恋しくて・・・、ダメなのに・・・』
好きで好きで
社長を想うとどうにかなりそうな日々を過ごしながらも、カズを大切に想う気持ちもまた真実で。
『そんなに・・・俺が好きか?』
ずっと、ずっと苦しかった。
そうやって僕に優しく接してくれる社長に惹かれていく度、恋心と嫉妬に身を焦がす度に、自分を責めた。
僕を一途に想い続け、その知能の高さ故、未知数な可能性を秘めた将来すら僕の為だけに捧げてくれているカズがいるのにって。
僕との結婚をひたすら望んでくれる彼に申し訳なくて、カズを傷つけてはいけない、裏切ってはいけないと、何度も心に破らずの誓いを立てた。
だけど
『・・・すき、・・・愛して・・・る、社長は・・・はぁ、僕の運命の・・・人・・・、たった・・・一人の・・・番だから』
塞き止められない想いに
押し寄せてくる感情の波に
恋しい、定め、僕の番、社長は僕だけの人・・・
そんな事しか考えられず
あなたへの愛を伝える術しか今の僕にはなくて
どうしようもなく
あなたを求めてしまう僕の身体と魂が
あなたに向かって手を伸ばし
そんな僕の切望に応えるように
強く抱き締めてくれたあなたと
何があっても離れないよう
全てひとつに溶け合ってしまいたいと
心から願ってしまった。
なんて
恩知らずで自分勝手な僕。
カズにどれほど、愛され守られてきたか
カズにどれだけ、励まされ支えられて来た事か。
僕には大切な人がいる。
誰より、僕自身より
大切にしなきゃいけない人が。
わかっているのに
いけない事なのに
もうずっと何年も僕はおかしくなるくらいに
社長の事で、頭も心もいっぱいだった。
暫く潤君sideに移ります。
コメント嬉しく読ませて貰ってます、ありがとうー♡
お返事遅れててごめんね(´;ω;`)