S side




潤の家からの帰り道
アパート近くの携帯ショップに寄って、電源の入らなくなったスマホを点検して貰う。

最悪、機種変かな・・・保証期間の無料交換ていつまでだったっけ?
そんな事を考えながら店の人の手元を見ていると
数回電源ボタンを押しただけで、あんなに俺が何をしても反応しなかったのが嘘みたいに、スマホは正常に作動し始めた。


「ありがとうございました。」


苦笑いする店の人に見送られ、狐につままれたような気分で店を出ながら、これはやっぱり智君の呪いなんじゃないかと思えてくる。


やりかねない
あの人ならやりかねない
一体こんな事して何の意味があるのかは俺にはわからないけど、あの人ならやりかねない。
(´・∀・`)オイラは何もしてねぇわ!冤罪だ!


それでも、昨日は智君には心配や迷惑をかけたから、電話でもしとくか・・
頭ではそう思いながらも、さっき別れてから電源が切れている間に、潤から連絡でも入ってるんじゃないかと手が勝手に動いてスマホを確認すれば、期待するような物は何も跡を残していなかった。
それがわかるとまた、苛立ちが俺を襲う。


何だよ、潤のやつ。
俺の知らない間に知らない男と連絡先交換してメシに誘われて。
相手の男には下心あるに決まってんだろ、お前は昔から男からも告られたり怖い目にも遭ってただろ?
それなのに何で、藤原さんはそんな人じゃないってわかんだよ。
庇ってんじゃねぇよ。
俺の言う事より、その男を信じるのかよ。
それが何より一番腹が立った。


挙句に俺を勝手に疑って、旅行にだって行きたくないなんて言い出すし。
お前以外とデートなんてする訳ないだろ。
俺が誰の為に、こんだけ必死にバイトしてると
思ってんだ。
全ては潤の為。
潤の喜ぶ顔がみたいからなのに。

何で、何で
こんなに好きなのにわかんねぇんだよ・・・


あーーー!ムカつく!!
せっかくちゃんと話をしたかったのに!
そりゃあさ?
確かに下心も確かに湧いてきたけどさ?
お馬さんも登場したけどさ?

最近様子のおかしい潤の理由を知りたくて
何か悩みでもあるなら聞いてやりたくて
いや・・・
俺が潤にただ会いたくて会いに行ったのに
こんな喧嘩別れになるなんて。

「はぁーっ・・・」

やるせなさに、大きな溜息が出た。



・・・・・あいつ、涙目だったよな。
今頃泣いてるのかな。


『っそうじゃなくて、ねぇ!話を聞いてよ』
『翔くんっ』

大きな瞳に涙を浮かべてして
縋り付くように腕を掴んできたのに
俺がその手を外してしまった。

ズキンッ

心が傷んだ。
潤の泣き顔が脳裏に浮かんで、キュウッと俺の胸を締め付ける。

話ぐらい
ちゃんと聞いてやれば良かった・・・



・・・・・・やめた。
もう意地なんて張らず、潤に謝ろう。
うん、それがいい。
とっとと仲直りして、俺への誤解を解いて
藤原さんの事も説明して貰って納得して
また潤と笑って抱き合おう。
智君への電話は、その後にしても問題ないだろう。←

善は急げだとアパートに着いて早々、自分の部屋に向かって歩きながら潤の名前をタップしようとすると


「先生ー!!」


「・・・え?!」


俺を見つけた途端に嬉しそうな顔をした健人が、俺の部屋の前から駆け寄ってきた。







↑↑↑この潤くんの出っ尻具合と
翔潤の立ち位置が大好き。

なんつー楽しそうに翔くんを誘うの、潤くんたら!