A side
「潤、冷蔵庫に貝の刺身あんだよな?
ついでに酒とかグラスももっと持ってくるわ」
「翔ちゃん、俺も手伝うよ」
たまには皆でゆっくり呑もうかと、五人での仕事が早く終わった今日、翔ちゃんと潤君の愛の巣にメンバー全員で集まり楽しい宴が開催されていた。
翔ちゃんについてキッチンへ移動し、カウンターに潤ちゃんが用意しておいてくれた、グラスやツマミを運ぼうとすると
「あのさ雅紀・・・今頃言うのも何だけど、本当にありがとうな。」
翔ちゃんが改まって、少しだけ照れ臭そうに言う。
「何が?どうしたの?」
「今の俺と潤の穏やかな生活があるのは、雅紀のおかげだって思ってる。あの時、お前が自分の気持ち殺して潤の背中を押してくれたからだって。辛い想いさせて申し訳なかったけど、本当に感謝してるんだ。」
「翔ちゃん・・・」
「だからさ、雅紀がニノとそうなったって潤から聞いて、良かったって心底思ったよ。
お前には絶対幸せになって欲しかったから。幸せになるべき人だからさ。」
もうとっくに終わった事なのに、気遣いと感謝の気持ちを常に忘れないこの人は、きっとずっと俺に対しそんな事を想い続けていたんだろうな・・・
あの時の決断に後悔なんかないのに。
俺にとってあの選択肢以外なかった事なんだ。
「翔ちゃん・・・ありがとうね。」
「Congratulation!」
「いや、無駄に発音いいからね?(笑)」
それにニノと結ばれた今、やっぱりあの時の俺は間違えてなかったんだって自信を持って言える。
あの事があったからこそ、近くにいる大切な存在に気づく事が出来たんだから。
「大ちゃんがさ・・・」
「ん?」
「俺がまだニノを意識し始める前くらいにさ?
二人きりになった時に、恋人がいるいないって話になってね、意味深な事言ってきたんだよね。」
「智君が?なんて?」
「『灯台下暗し。相葉ちゃんが結ばれる相手は、案外身近にいるもんだよ』って。」
「智君すごっ!予言なの?それって」
「それから俺も考えちゃってさー。
でも思い返してみたらニノかもな、ニノだったらいいなって思ったりしてさ」
「いやー、やっぱりあの人だけは侮れないわ」
二人でそんな話をして笑いながら皆の所へ戻ると
「お前、本当にやめろや!」
俺の可愛いニノが仔犬のようにキャンキャンと大ちゃんに怒っていて、傍らで潤ちゃんが苦笑いを浮かべていた。
「ニノ、どうしたの?」
「潤、何があった?」
それぞれ二人に問うと
「ちょっと相葉さん、あっち行ってて。この人だけは油断できない」
大ちゃんから俺を隠すようにニノが俺の前に立ちはだかる。そんな事したって、俺の方が背が大きいから隠れてないんだけど。
ニノのこういう所が可愛くて堪んない。
「リーダーがね、相葉君は自分と付き合えば嵐コンプリートだなって言い出してね」
潤ちゃんが事の経緯を話し出す。
「カズが冗談だよな?って聞いたら、実は前から相葉君を狙ってて、以前それらしく匂わせたのに相葉君が勘違いしてカズに持ってかれたって・・・」
「「ええーー!!」」
『灯台下暗し。相葉ちゃんが結ばれる相手は、案外身近にいるもんだよ』
あの言葉の意味って・・・そっちなの?!
「本当にやめろよ!相葉さんに手出すつもりなら、二度と釣りに行けない体にしてあげましょうか?」
「・・・・・・。いや、オイラ、翔くんでもいいけどな。可愛い顔してるし」
「お、俺ー?!」
「リーダー・・・重しつけて二度と浮上出来ないようにして海に沈めるよ?」
「う、嘘だよ!冗談に決まってんだろ、二人とも。
目が怖いよ、・・・やめよ?」
「あんたは冗談にならないんだよ!」
「リーダーの癖に信じらんない!」
怯える大ちゃんを囲んで、怒り狂う末ズ。
カオスな状況にも関わらず、何だか可笑しくて
隣を見れば翔ちゃんも微笑んでいた。
「こういうのって、何だか幸せだよなぁ・・・智君には悪いけど。」
「うん。大ちゃんには悪いけど幸せだね。」
「ずっとこのまま、五人でわちゃわちゃしていたいな。」
「うん。大ちゃん以外はイチャイチャもするけどね」
「ふはっ、確かに!」
なんて翔ちゃんと笑いながら話してると
あっちの三人もいつの間にか笑い合ってて
みんなが笑顔になっていた。
翔ちゃんの視線の先には潤ちゃんがいて
俺の視線の先にはニノがいる
それぞれの相手がそれぞれの相手を見つめてて
そんな4人を見守る大ちゃんと
大ちゃんを慕う4人がいて
あの時の決断も
あの時の笑顔も
あれで良かったんだって
今ここにある幸せを感じながら
強く思う。
今後も五人の進む先には、きっと沢山の幸せが待っている気がする。
だから、これからもずっと俺は笑顔を絶やさず過ごして行こう。
終わり。
♡オマケ♡
あいにの番外編の中に全てのCP名称が潜んでます。暇つぶしに探してみてね♡
※泣き虫、モデルズ等同じCPなのに名称がいくつかある場合と左右違いも一通りしかありませんのであしからずー。