S side



マンションに着き、ベッドまで我慢出来ない俺は
玄関の扉が閉まるとすぐ
潤の背中を壁に押し付けるようにして
潤の両頬に手をあて貪るようにキスをした。

丁寧に潤のぽってりとした唇を舐めとると
吐息を漏らす潤の唇の隙間から舌を挿し入れて
口を開かせ上顎を舌先でツーッと撫でてやる。

「んぁっ・・・」

可愛い声を漏らす潤に欲望が止まらず
シャツに手をかけると

「・・・翔くん、ちょっと待って!」

俺の手を掴み制止する。


「なんでだよ、もう待てねぇよ」

尚も続けようとする俺から逃れると
潤はスタスタと寝室へ向かった。


寝室ならいいのか?
玄関はさすがに恥ずかしかったのかな?
潤、結構声出ちゃうタイプだもんな・・・


そんな潤の初々しさにデレる緩む頬を何とか引き締め潤の後を追う。


ベッドに向かい立っている潤を


「じゅーーん!」


後ろから抱きしめそのまま押し倒そうとすると


「信じらんない!!」


潤が俺の手を振りほどき、キッと睨みつけてきた。


「へ?何が?」


いきなり何を怒ってるのかキョトンとする俺に
潤はベットのシーツ類を引っ剥がすと


「このベッドカバーとシーツって、風磨が泊まった日と同じやつだよね?」


シーツを手に俺に詰め寄る。


「え?そうだっけ?」


基本的にそういう細かい所には無頓着な俺にはさっぱりわからず。何なら何でそんな事で潤がプリプリしてるのかもわからず・・・


「これ、捨てるね?」


「え?何で?勿体なくない?多分洗ってあるし、まだ使えるぞ?」


「そういうとこ!翔くんのそういう所が僕は嫌なんだよ!無神経!
いくらいきなり今日こうなったとしても、事前に捨てれなくても、せめて僕が気がつく前にどうにかしといてよ!風磨と寝てた同じシーツの上で翔くんに抱かれるなんて絶対嫌だから!」


そんな事言ったって、そんな時間今あったか?
俺お前に夢中でそんな事気付く余裕全くなかったんだけど・・・
俺は別にベッドに行かず玄関で最後までやっちゃっても良かったんだけど・・・

なんて
こういう所が無意識に今迄も潤を傷つけてたんだろうなぁ・・・そう思い潤を伺い見ると
いよいよほっぺを膨らませ、ぷいっと横を向く。
だんだん目も潤んできて、・・・ヤバい、これは泣く


「ごめん、俺よくわかんねーんだよ。
シーツとかいつも母親が来たら勝手に洗って替えてくし。俺、最近ずっとこの部屋に帰ってなくて、今日久しぶりに来たからどのシーツが掛かってるとか知らなかったし・・・」


「え?どういう事・・・?」


「お前の居ないこの部屋に一人でいると、やけに広く感じて虚しくてさ。
何となく帰りたくなくなって、ずっとホテル暮らししてたんだ。」


「翔くん・・・」


「まあ、ここに居たって俺、シーツがどうとかわかんないけどな。」


はははっと自虐的に笑う俺に


「ごめんね、翔くん。そうだったんだ・・・
でもこれは捨てるからね。他のシーツに替えるよ?
そうだ!お腹空いてない?何か作ってあげるよ。
冷蔵庫に食材入ってるといいけど・・・」


申し訳なさそうな顔をしながらも、
ちゃっかり剥いだシーツを俺に押し付け
いそいそとキッチンへ向かおうとする潤を引き留めてそのままベッドに押し倒す


「いらない。お腹は空いてるけど、まずは潤が欲しい。」


「でも・・・」


「いいから。・・・なぁ、そんなに風磨が嫌なの?」


「・・・・・・」


「教えろよ」


「・・・嫌だよ。嫌いじゃないけど。」


「風磨に焼きもち焼いたの?」


「・・・知らない」


「どうして?答えろよ」


「・・・焼いたよ、悪い?僕だって焼きもちくらい焼くんだから。翔くんはウザいって思うかもしれないけど嫌なんだもん!」


「悪くないよ?嬉しいよ。
これからもちゃんと言えよ、そういうの。
俺鈍いけどちゃんと直すから。
言わずにお前に離れられるぐらいなら
うざったいくらい言ってくれた方がずっといい。」


「何それ・・・僕ばっかりがヤキモチ焼きみたいで嫌なんだけど・・・」


「そんなお前が俺は可愛いんだよ。
そういや、キスマークもつけられたしな今日」


「・・・キスマーク、つけたの嫌だった?」


「ばーか、そんな訳あるかっての。
潤にはもっと沢山俺がつけてやる。
お前の身体にキスマークでサクライショウって所有者の名前書いときたいぐらいだわ」


「翔くん、それは遠慮します・・・」


ふふって笑った潤が可憐で
こんな穏やかに幸せそうに笑う潤を見れて
ああ、俺達これからは大丈夫だって思えた。


だけど、そんな綺麗な潤に俺はもう我慢の限界で
そのまま潤の腕を押さえつけて、艶やかなその唇に惹き込まれるように深いキスを落としていた。