・・・思った通り、

家からいちばん近くのコンビニの駐車場に

娘の車は停まっていた。

 

それを見た夫は 安堵したように溜息をついた。

 

わたしが様子を見に行くと

娘は泣きながら 親友と電話していた。

『大丈夫。落ち着いたらちゃんと帰るから。』

『パパが心配してる・・・』

『大丈夫だって!もう少ししたら帰るから

 家で待ってて。』

 

すぐに連れて帰りたいという夫をなだめて帰った。

脱力したように座り込む夫に

暖かいお茶を入れて

側に寄り添って座った。

『大丈夫・・・大丈夫だからね・・・』

わたしが夫の手を握ると

夫はまた 静かに涙をこぼして 下を向いてしまった。

 

・・・30分後、娘が帰ってきた。

『ほら。おみやげ。』と シュークリームを4個。

 

『・・・ゴメン・・・ゴメンなぁ・・・』

・・・そう言って娘を抱きしめる夫に

娘もまた 涙をこぼした。

『なんか・・・今まで いろいろゴメン・・・許してくれよ・・・』

『いいって。大丈夫だって・・・』

『家を出るとか言わんで・・・ここにいて・・・』

『どっこも行かんて。ちゃんと帰ってくるって。

 わたしの家はここなんだから。』

 

・・・なんだか 親娘の立場が逆転したみたいだった。

泣き縋る夫を娘がなだめていた。

 

それからあったかいコーヒーを淹れて

4人で娘の買ってきたシュークリームを食べた。

娘はお風呂に入りに行き

わたしはお布団を敷いて 夫を促して寝かせた。

 

 

なんだかもう 

何にも考えることができなかった。

考える必要なんて ないって思った。

 

思考停止したまま 後片付けをして お風呂に入って

夫の隣に そっと潜り込むと

夫は まだ寝てはいなかった。

 

そっと・・・わたしを抱きしめて・・・また泣いた。

『ゴメン・・・ゴメン・・・ゴメンな・・・』

 

今日だけで 夫は何度『ゴメン』って言ったんだろう。

今まで 言葉にして謝るなんてこと

ほとんどない人だったのに

 

 

夫は心の中に

どれほどたくさんの『ゴメン』を溜め込んでいたんだろう。

抱えきれないくらいの『ゴメン』で

心が押し潰されそうになるくらい・・・

 

一生懸命 夫の心に寄り添ってきたつもりでも

夫の気持ちを理解しようとしてきたつもりでも

やっぱり わたしにすら想像できないくらい

夫も 苦しんでいたんだ・・・って

 

だれも だれも 教えてくれなかった。

 

わかっていたはずなのに

 

 

夫の味方をしてあげられるのは

世界中に わたしひとりしか いないってこと。