去年の夏過ぎ
夫の昇進が決まり 役職がついた。
ちいさな会社だったけれど 他の人を飛び越えての抜擢だった。
希望に燃えた夫は うれしそうにわたしに報告し
『今まで苦労かけたぶん がんばるからね』とはりきっていた。
けれど 仕事は多忙を極め
毎日毎日遅い帰宅と 責任の重さに
夫は追い詰められてしまっていたのかもしれない。
だんだん疲れていく夫を心配しながらも
『大丈夫だから』
『今が頑張り時だから 心配しなくていいよ』のことばに
わたしは 夫がその気なら応援するしかないと思っていた。
やさしすぎる夫は
仕事の辛さもひとりで抱え込んで 逃げ場をなくしていた・・・
そんなとき 夫のそばにいて 仕事を助けていたのが彼女だった。
夫の直属の部下で 3つ年上の彼女に
夫は仕事のつらさから逃れる場所をみつけてしまったのか
それとも彼女のしかけた罠に 自らかかってしまったのか・・・
仕事に対する意欲がなくなっていった。
会社や 上司の悪口を言うようになっていった。
だんだん 夫の顔が すさんでいくのがわかった・・・。
彼女と仕事や会社の愚痴を言い合うことで
夫は楽になる道をみつけてしまったのか
・・・そして 気がついたときには
抜け出せない関係になっていた・・・。
わたしになにができただろう。
毎日 疲れていく夫に気がついて声をかけても
『大丈夫』としか言わない夫に。
仕事のこともいろいろ話してくれるけど
わたしにできることは
疲れた夫に 美味しいごはんをつくって
あたたかい家庭で
ゆっくり休める環境で迎えること以外に・・・。
もし 彼女が常識ある理性のある女性だったら
仕事を助けても 愚痴をいいあったりしない。
そして 既婚者である夫に
たとえどんなに愛情を持ったとしても
もし 夫が心迷って誘ったとしても
そんな関係になろうなんて
簡単に思ったりしない・・・。
真面目でやさしくて 心弱い夫は
そんな彼女の巧みな罠に 自らかかってしまって
抜け出せなくなっているのだと・・・
今までどんな女性が近くで仕事をしていても
そんな関係になったことはなかった。
そんな心配をしたこともなかった。
なんで このタイミングで そんな女が近くにいたのか
その女さえなければ こんなことは起こらなかったのに・・・
神様はなんていじわるなんだろう。