- 前ページ
- 次ページ
1週間前にやっと論文を出し終えました!!
本当に仕上がるのか最後の最後まで不安でしたが、なんとか書き終えました。書き終えたというより、無理やり終わらせたというのが正直なところ・・。
実はまだまだ書き足りないこともあります。調べ進めれば、さらに新しい情報が入り、あれもこれも入れないと・・全くまとまらない・・。といった感じでした。
内容は、作曲家ジュール・マスネについてです。
最初は歌曲のみに焦点を絞り書こうと思っていたのですが、調べていくうちに彼の声への博識、フランス語との関係、言葉への知識の高さ、さらに彼の人生、彼に関わった女性についてなど様々興味深いことがでてきたので、少々表面的でも焦点を広げて書くことに。
なぜマスネ?と聞かれます。
特に日本ではマイナーな作曲家です。
フランスに来てから色々な歌曲を歌ってきた中で、もちろん大好きなドビッシーやプーランク、フォーレの曲や品集について書くことも考えたのですが、それらの文献や解釈本はフランスではとても多く、日本語でも多く見つけることができます。
しかし、マスネに限っては、日本語の本は皆無、フランスでもここ20年程新しく上演された作品が多く、専門家たちも今興味を持って色々と議論しているところです。
まだまだ眠っているものが多く、これらを何とか発掘したい!!という気持ちがはじまりでした。
大好きなオペラ「マノン」。
フランスにきて初めて住んだアパートでホームシックになりながらテレビをつけたらたまたまやっていて釘付けになって見ました。そのころはもちろん字幕のフランス語も分からない単語だらけで、辞書を片手にです。その時に感じた不思議な気持ち。なぜか惹かれる、心地よい音楽。
フランスの作曲家なのにイタリア物のように甘美だったり、オペラにライトモチーフが使われていたり、重厚な和音なのに重くない、フランスの匂いがするのに何か他の作曲家とは違う・・。
洗練されたメロディーにとても心地の良い和音。なんだか軽いのに心に残る。心に違和感なく入ってくる不思議な味をもったマスネについて知りたいと思ったのです。
聴けば聴くほど魅了されていきました。
最初に驚いたのは彼が歌曲を280も書いていたこと・・。その中で知られているのは数曲。私が知っていたのも3曲ほど。
オペラも25作品。日本で知られているのは、マノン、ウェルテル、その他にも頻度は低くても上演されるものもありますが、最後の作品クレオパトラは本当に素晴らしいです!!
例えば、全音音階や属9の和音を本格的に使い始めたのはドビッシーと言われていますが、マスネの後期のオペラにはそれらが多く使われており、彼の時代にはかなり前衛的でした。そして、ドビッシーがマスネからかなり影響を受けていることがわかりました。
その他、彼の生徒だったシャルパンティエ、有名なルイーズのアリア、「その日から」。甘美で洗練されたメロディーに和音進行、昔から心揺さぶられていたのですが、マスネの愛弟子ということで納得。
イタリアの作曲家もかなりの影響を受けています。特にマスカー二。
そう、新イタリア楽派はワーグナーやマスネからの影響を受けています。
マスネの中期以降のオペラを聞いてからカヴァレリア・ルスティカーナを聞いてみてください。
調べて行くと、今まで私が好きで魅了されてきた作曲家はマスネから受けた影響が多数あることがわかり、全てが線で繋がったのです。これは大きな発見でした。
しかし、そこまで後世に影響を与えたマスネがなぜあまり評価をされてこなかったのか。皆が疑問に思うことでしょう。
時代の波、ロマン派から印象派への移り変わりの時期だったこと、彼の死後間を置かずの第一次世界対戦勃発したこと、さらにイデオロギーの影響も大きいと言われています。
80年程眠っていた作品たち。ここ数年注目が高まり新しい目でマスネを見る人が増えてきています。
日本でも未発表なものが多いのでそれらが知られるよう、少しずつ書いていければと思います。
そしていつか、レクチャーコンサートができればと考え中です。
論文(左上)と参考資料。
























