暴発
私は、識字障害の激しい彼女の為に、
考えを巡らせてせっせと教材をこしらえた。
つまり、字を大きくする。フォントはゴシック。
字間行間は広く取る。改行を適切に入れる。
絵を入れて見やすくする。
彼女の好きな紫色の文字を要所に入れる。
物すごく工夫した。
何度も見直して、彼女の気分になったつもりで確認した。
そのくらいしなければ、あの子は学習しないだろう。
いや、これだけしても....?
ところでレッスンは一口2時間。
長い。 1時間でよくないか?
それが週2回。
彼女の行っている進学校は、恐ろしい早さで授業が進む。
小学生から個人授業を受けて入学して来たガリ勉組は、
今すぐ大学にも進学できる以上の数学の知識を持っている。
英語テストなども平均点が89点とかで、
そういう精鋭を集めた中で更にしのぎを削るのだ。
更に必ず部活動もして、それにも努力をしなければ、
成績にカウントしてもらえない。
だからみんな死ぬほど勉強するらしく、
クラスで出来る方の子らは、
帰宅後も8時間も自室に篭って勉強するのだと言う。![]()
寝る時間も食事の時間も惜しみ、まさに死に物狂いだ。
お金を積んで入りました組の、
しかも発達障害と思われる彼女にとってそこは地獄ではないのか。
私は普通の会社員なので、
仕事が終ってから約1時間半かけて彼女の家に行く。
そして帰りは家まで1時間。遅い帰宅となり、クタクタだ。
しかし、英語の個人先生という仕事は、天職と思っている。
今まで何人も教えてきたが、その人の何を伸ばせば上達するのか、
すぐに読み取れる自信がある。
しかし逆に、トライアルレッスンでは5分もあれば、
この人に教えても無駄だろう、というのもわかる。
教えて下さい、と言って来ているのに、
本人は全く何も学ぶ気がない、
という矛盾した人がけっこう世の中にはいるのである。
まあそんなわけで、この苦労も、肉体的な疲労も、
勿論報酬もあるわけだし、苦痛ではなかった。この段階では。
そして、いつもの様に彼女宅を訪ねた。
すると、10分も経たぬうちに、ある問題をやっている最中に彼女が
「え~~っ」
と言った。
この間覚えた単語が思い出せなかったからだ。
そしたら
「いや待って。ムリ。出来ない!!」![]()
とけっこう大きい声をあげた。
私は彼女が落ち着くのを待つつもりで一呼吸置いて、また進めようとすると、
できないできないできないーーー!!!
ヤダヤダーー!! ![]()
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と叫び出し、髪をかきむしり足をバタバタさせて暴れだした。
私はビックリして、
落ち着かせようと焦った。
大丈夫? ![]()
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と静かに言い、また続けようとするが、
「ここはね」と説明しようとするも遮って
「ヤーダー!!!![]()
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」と拒否。
また時間を置いて話し出すも
「ヤダヤダやだー!!」とわめくばかり。
もうどうしようもない状態になった。
「イヤと言っても、お母さんに頼まれて来てるからやめる訳にいかないでしょう?
ちょっと聞いてみるね。」
母親のK子さんにラインを入れる。
「今日はもうレッスン続けられないと思います」
すると速攻で電話がかかってきた。やっぱりね。
出るといきなり挨拶も無しに
「何でですかあ?!!![]()
」
とブチ切れている。
はあ...親子そろってブチ切れ系なんですね。![]()
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私は電話を娘に渡した。
娘は小さく低い声で
「もう出来ない....。ムリなんだもん」
と恐る恐る訴えている。
少し話した後、また私に電話を変わった。
するとK子さんは、
「あの、気になさらないで下さい(笑) ![]()
」
と
ドヤッと言い放った。
お前そこはまず謝るところじゃないのかい。![]()
「子供なんてそんなもんなんですよ!!
」
いやアンタ私に子がいないからって偉そうに失礼だろ
「ブッ叩いても蹴っ飛ばしてもイイから
やって下さい!! ![]()
」
................。![]()
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この、失礼極まりなく、その上虐待してでも続けろと、
それを私に上から命令する言い方、
ナニモノなんだこの女はあ??
決定。発達障害はこの母から来ている。
二人とも衝動的で、他人を気遣う事が出来なくて、乱暴で、だらしない。
今私が晒されているとんでもないストレスに対してこの言い草。
ブチッと電話を切って逃げたくなったが、
衝動に衝動で答えたら同じ穴のムジナなのである。
グッとこらえて、何事も無かった様に授業を続けるしかなかった。
娘は、怒られて落ち込みながら半泣き状態のまま何とかやっているのだった。
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一方、「チンタラ」事件の続きですが、![]()
私は黙っていました。
よく私が読んでいる
同じ様に発達障害パートナーを持つ女性たちの日記や、マンガ、
それに私はソレ系のセミナーにも何度も行っていますが、
きまって皆さんけっこう激しく言い返していますのね。
口汚い喧嘩をしたりとか。
しかし私はほぼ98%黙り込みます。
この時も沈黙しました。
沈黙は最大の武器だと思っているからです。
それに、こういうブチ切れたり突っかかってきたりする人は
間違いなく「好戦的」であり、つまり喧嘩っ早いのです。
喧嘩が好きなんだと思います。争っていると何か快感なんですかね。
自分に自信がないから、支配欲が強くて、
怒る事で相手を従属させられると信じてるんですかね。
或いはそういう家庭で育ったから
「平穏無事」でいると落ち着かないのかもしれません。
こんな人に言い返したら思うツボで、
更に腹立つ事を言われて大ゲンカになりお互い傷つけ合い、
最初の100倍もの怒りが湧いてずっと恨むハメになります。
そういう非建設的な事はイヤだ。
この事態を解決する為には何をすればいいのだ??
と緊急に私の頭の中では会議が始まっている。
そして冷静に考える為にも、やはり沈黙しながら頑張る必要があるのだ。
もう一つの沈黙の効果は、
その間に相手も頭が冷やせると言うことだ。
ここで
「黙ってないで何とか言え!!」
などと追い討ちをかけてくるような相手なら、
それはもう万事休すで、
それ以上相手の為に考えてやる時間などない。
今すぐドアをシャットアウトして
今後二度と関わらない事をお勧めする。
前の男がコレだった。 ![]()
すぐに私は警察に相談し、家の鍵を替え、警備をつけ、
警察からは接近禁止にして頂いた。
今の彼がまだ見込みがあるところは、
ここでちゃんと我に返る事が出来ると言うところだ。
なぜ今朝からずっと突っかかってくる?
何が目標だ?
自分だって嫌な気持ちになるのに?
私が嫌いになったのか?
どう扱ったらいい?
私はハンドルを握り軽やかに車を飛ばしながらも、必死で考えていた。
彼を理解しようと努力したのだ。
彼が何を求めてこうした言動をしているのかを。
ま、特に何も考えてないんだろうケドね![]()
少しすると最初のサービスエリアの看板が出てきた。
彼は「おなか空いてる?」と普通を装ってやさし目に聞いてきた。
コレである。![]()
今朝と同様、
裸の脇腹に突然パンチを入れる様にケンカを吹っかけてきながら、
私が黙るとアッと言う間に焦ってフォローしてくるのだ。
不可解だ...わからなさ過ぎる!!
私は声も出さずに、正確には出せずに、黙ってうなづいた。
今同乗してる為に物理的な距離は置けない。
車の返却の夜20時まで、こうしていなければならないのだ。
なら、心理的な距離を置くのだ。
その後はエリアに入りフードコートで軽く食べたりなんだリして、
二人して何事もなかったかのようにふるまった。
私は、今日はこのまま適切な心理的距離を取りつつ
平静を装うのだと決めていた。
それはとても疲れることだった。
こんな休日のはずじゃなかったのに。
情緒不安定な彼を恨んだ。
コートを出ると彼は「運転変わるよ」と気遣いを見せ
反省しているかのように見えたが、よくわからなかった。
高速を降り、田舎道に出て、青く晴れた眩しい空と、
黄金色に輝きだした田んぼの中を走り出すと、
私の気分もいよいよ晴れて、
夏の名残を満喫しようという最初の気分に戻っていった。
そしてとある名所に行き、施設の中に入る。
客で混んでてエレベータに入るまで少し並んでいたのだが、
そのフロアの真ん中に円柱状のものがドンとあり、
まあそれがエレベータの筒になっているのだが、
小さい男の子が何か言いながら
恐ろしい速度でその周りをグルグル走っている。
ダンダン、ボンボン、ドンドンドン
とか何とか意味不明の事を歌うように
繰り返し同じフレーズで口ずさみながら、
何周も、何周も狂ったように走る。ものすごい笑顔で。
みんな大人達はうるさそうにしていたが、
この親は全く無視して他人の様にしている。
親が誰だかわかるのは、このガキ、いや子供は、
先ほど入場料を払って名簿にあれこれ記入している最中にも、
まだ親たちが私達の後ろに並んでいるというのに門を突っ切り
中に凄い勢いで突入して奥まで走って行ったのである。
ビックリするぐらいの早さだった。
でも、この時も親は何も言わないのである。
何なんだこの親は?
と思っていたら係の人が、
「危ないからちゃんと引率して下さい」と男の子を連れてきた。
きっといつもの事で怒る事に疲れて放置しているのだろうが、
それなら連れてくんな公共の場所に。![]()
この、グルグル馬鹿みたいに走って永遠にやめなさそうな、異常な行動、
わかりやすい注意欠如多動症だろ。
親はもしかしたら発達障害だと診断を受けていて知っているから
もうどうしようも出来ないでいるのかもしれない。
しかしそれでも抑えなアカンがな。
あの子、多動症だねきっと。
というと彼は、
て言うか親が何にも言わね~のおかしいよ!!
と怒った。
はい、そうですね。
でも、
アンタの放言も大概にしたらどうなのさ。![]()
と私は心の中で思った。
今は天国にいる、春子です。お腹をポチポチしてやって下さい![]()




