一時期、大人の絵本を書いていたことがある。
例えば『泣けないネズミ』
とか色々あるのだが、人間社会で起こり得るストーリーを動物に演じてもらう。
例えば『泣けないネズミ』は、あるもぐらで悲しいネズミがいる。となりを見るとあくびして涙を流しているネズミAがいる。そのとなりにはテレビを観て涙しているネズミBがいる。主人公のネズミは自分も泣けるようになるために、もぐらから出て、旅をするのだが、結局泣くことばかり考えていて、自分が何に悲しかったのか忘れていたネズミ。
の話しである。
こんな感じのシュールな作品ばっかりを作って、
出版社を調べ、持ち込みをしていた。
重要なのは自分の作風に合う出版社を見つけることだったのだが、私が書いた作品はバッドエンドで終わる物が多く、なかなか見つからなかった。
それでもなんとか探して持ち込みを繰り返してた。
多分、東京にある出版社で20~-30社は持ち込みしたんではないか?と記憶している。
名刺を頂いて、作品を見てもらい、だいたい
『うちでは出せませんね~』
と言われまくるのがオチ。
出版社にアポとる時に「大人向けの絵本書いてる者ですが…」と言うと『はぁ?』という対応が多かった。
絵本=子供
という固定観念があったのだろう。
絵本だから絵が描けないといけないのだが、私はびっくりするほど絵が下手くそだ。当時の彼女に描いてもらったりしていた。
自分では絵で勝負ではないのさ、ストーリーを見てもらいたい。
との想いが強かった。
出版社によっては『絵がね…。』なんて反応もあったから、イラストレーター志望の人を見つけてお願いすることもあった。
ネットで募集したらかなりの応募者が集まった。
その中で一人いいな~と思う人とコンビを組んで書いてたのだけど、お金の振り分けをやたら心配する人で、まだ『出しましょう❗』と言われてない本の印税の心配するのだ。
でも作風は好きだったから我慢していた。
そんな中私は、夜は机に向かいストーリーを書き綴る日々が続いた。
もう持ち込みできる出版社ないよ~
ってな時に持ち込んだ出版社で、担当者がエロ本を抱え席に着いたことがあった。
私は驚くと、『大人の絵本』と説明していたから、そっち系のことだと思ったらしい。
エロ本を指して『こっち系の仕事ならあるんですけどねぇ…』と言った。
その日の帰路、
「俺なにしてんだろ…」
「才能ない…」
もっと早く気付けよ❗って話しなんだけど、諦めてしまった。
その後、お願いしていたイラストレーターさんはうつ病になり、描けませんと断言されて大人の絵本の夢は完全に終わったのである。
でも今でも出版社の編集者と会って、作品見てもらえたという経験は改めて思うと楽しかったな、って思う。
少しでも本気になれたことが。
今この歳になって思う。
エロ本の出版社さん、なんでも書きます!
仕事くださーい