階下では、K子先生の指揮のもと、その場でいろんな音の役割が決まり、 リハーサルが始まった。石ころ。パン、マリンバ、 ハープなどなど。


それぞれの楽器、物を持ち、

「こんな感じ。」

「いや、もうちょっとこっちの方がいい」

と言い合う大人の後ろに、


階下に降りてきた子供たちが並ぶ。

子供たちはその日たまたまセンターに来ていた子供たちである。


K子先生が

こんな感じよと 

1、2回歌わせて、

じゃあ行こうかである。 


いつもK子先生に即興性を鍛えられている彼らだからか、

よしこい。


という目の輝きを見て取れた。

2回リハーサルをして、最後の1発録音である。


さっきまで 大はしゃぎで叱られまくっていた子供たちも、身動き1つしない。


こどもたちの中には、

日頃学校の音楽の 授業が嫌い、歌が嫌いだという我が家の子供たち2人もまじっている。

私は自分の子のあんなに緊張の入り交じった輝いた顔を久しくみてなかったことに気づいた。


適当な表現ではないかもしれないけど、みんな 綺麗だなと思った。


大人も子供もK子

先生の手の動きだけ見ていた。 


最後にK子先生の右手が宙を掴み、

誰かがごくっと喉を鳴らした。


オッケー。


指でサインが出ると、みんな抱き合って喜んだ。

なぜかみんな涙ぐんでいた。


この後、子供たちの中の 1番小さなかっちゃんが「みんなの心が合わさった気がした。」

と言った。


たとえこうちゃんのお母さんがこの場へ来れなくても、 この空気でつながっている。みんなそう信じた。


つづく