3月から続く自粛~緊急事態宣言、明日14日に39県で解除される動きがあるようですが、これから平穏な日常が戻るというよりは、徐々に新しい生活のスタイルが生まれてくるのだと思えます。
稽古は集団での創作ですので、現状見合せておりますが、その時間はまた、作品への理解や可能性をみつめる機会をあたえてもくれました。
「遠野物語」はひとつの大切なタ―ニングポイントとなる作品です。
短編の集積である「遠野物語」がかたちになるまで、出演者も熟練の音響照明の方々も、話し合いを重ね、当初の台本を3分の1以下に縮め、物語の地へ赴き、上演に至った思い出深い作品です。
わたしが書いた、はじめの台本は、3部作にしなければ上演不可能という代物だったのでした。
2時間近い演目です。
資料を揃え、一気に、場面や効果音の場所も念頭に書き上げた台本は当初5章仕立てでした。
俳優読み合わせ・ミーティングを何度も経て、そのつど削除や加筆を加え、前・後篇の二部構成に落ち着きまして、それから音楽を固めていきました。
柳田國男は、物語のすべての話を遠野の人、佐々木喜善から聞き取りました。その、佐々木喜善に重きを置いた台本ではありました。
類い稀な語り部喜善を育んだ土壌、まわりの魅力的な、個性豊かな話者たち。
削除された部分をみつめる事で、あらためてこの作品の奥深さに思い至る気がしています。
いずれ続編を、と思っております。
初演時の録画から、一部をアップしてみました。ぜひご覧ください!
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3人の俳優が、さまざまな登場人物を柳田原文、方言、現代口語で演じ分けました。例をあげますと
柳田國男 婆様 佐々木ノヨ 笑う女→新井純
佐々木喜善 猟師 菊蔵 福二 →高橋和久
山女 童 婆様 小国の三浦某の妻→石井ひとみ
さらに、村人、工場の男衆、爺様などは器楽奏者も加わり、演じ分けています。
ユーモラスな小正月の炉端宴会や、山女などは出演者総動員のアンサンブルとなりました。