「すみません。」
タカシがバーテンさんを呼ぶ。
「それじゃあ、○○(葉巻)と△△(お酒)、それとクランベリージュースをお願いします。」
葉巻の名前もお酒の名前も聞いたことがなかったので何と言ったかはわからないが、とにかくタカシがすごい人に見える。
すごい人というか・・・かっこよく見えた。
まもなくしてドリンクとメインの葉巻が運ばれてくる。
薄暗く雰囲気のある照明に照らされたタカシ。
そしてそこからタバコとは違う質と香りの煙が上へ向かってゆっくりと漂っていた。
「・・・そうやって味わうんだ・・・。・・・すごいね・・・大人な感じがする・・・」
さっきまでの興奮状態は落ち着き、今度は静かに感動する。
「うん。ね?タバコとは全然違うでしょ(笑)?」
そう笑いながら葉巻を手にするタカシが本当に大人に見えた。
ホテルデートと違ってタカシを体で感じることができなかったが、たまにはこういったデートも良いなと改めて思った。
フレンチレストランに行ったりシティホテルに泊まったりして少し優雅な気分になる。
そんなデート、昔もよくしてたっけ。
あれからもう何年も経っていたが、あの頃感じた気持ちを再度思い起こさせる。
そんなデートだった。
この一週間後。
今度は渋谷でホテルデート。
一足先に渋谷に行き、夕飯の食料を調達する。
二人分の食事を何店舗かのお店で購入し、最後のお店で支払いをしているとき、タカシから到着を知らせる電話があった。
その後すぐに合流。
そしてホテルへと向かった。
今回は前回のような恥ずかしさによるドキドキ感はない。
ただ人目を気にせずタカシと居られることが嬉しくて、そんな幸せなドキドキを感じながらホテルに入った。
一つになった後。
タカシに腕枕をしてもらいながいろんなことを話す。
毎回このスタイルなのだが、この温かい幸せな時間もまた大好きだった。
「そうそう、いつだったっけかな?去年の秋くらいだったかな。」
「なになに?」
タカシの大学院生活について話しているときだった。
「女の子と飲みに行くことがあってさ・・・」
え?
女の子と飲み・・・・?
タカシの腕の中で一瞬にして固まる。
「その時に”今からホテル行かない?”って誘われたよ。もちろん断ったけど(笑)。そしたらそのコ、しばらくしたら違う男と付き合ってた(笑)。」
ホテル・・・?
誘われた・・・?
何それ・・・
秋頃・・・?
知らない・・・
「・・・そうなんだ・・・」
一気に嫉妬の感情が襲ってきたが、なんとか冷静に努めた。
唯一言えた言葉がこれだった。
タカシは私に「断った」ってことを強調したかったのかもしれない。
「だから大丈夫だよ」って言いたかったのかもしれない。
誇らしげに話す様子からそう取れる。
けど私にはそうは受け止められなかった。
そもそもそんな話は知らない。
秋頃はもうデートをするような仲じゃなかったけど、会社で普通に話はしていた。
もちろん大学院の話だって聞いていた。
だけどそんなことは一切言ってなかった。
私との関係がなかった時、タカシは女の子から誘われてたんだ・・・
二人きりの飲み・・・
女の子から誘う・・・
私たちの始まりに似ている。
何もないからって安心はできなかった。
女の子と二人きりで飲みに行ったことに対する嫉妬、漠然とした不安。
さっきまで温かいと思っていた腕の中が急に冷たく感じた。
タカシがバーテンさんを呼ぶ。
「それじゃあ、○○(葉巻)と△△(お酒)、それとクランベリージュースをお願いします。」
葉巻の名前もお酒の名前も聞いたことがなかったので何と言ったかはわからないが、とにかくタカシがすごい人に見える。
すごい人というか・・・かっこよく見えた。
まもなくしてドリンクとメインの葉巻が運ばれてくる。
薄暗く雰囲気のある照明に照らされたタカシ。
そしてそこからタバコとは違う質と香りの煙が上へ向かってゆっくりと漂っていた。
「・・・そうやって味わうんだ・・・。・・・すごいね・・・大人な感じがする・・・」
さっきまでの興奮状態は落ち着き、今度は静かに感動する。
「うん。ね?タバコとは全然違うでしょ(笑)?」
そう笑いながら葉巻を手にするタカシが本当に大人に見えた。
ホテルデートと違ってタカシを体で感じることができなかったが、たまにはこういったデートも良いなと改めて思った。
フレンチレストランに行ったりシティホテルに泊まったりして少し優雅な気分になる。
そんなデート、昔もよくしてたっけ。
あれからもう何年も経っていたが、あの頃感じた気持ちを再度思い起こさせる。
そんなデートだった。
この一週間後。
今度は渋谷でホテルデート。
一足先に渋谷に行き、夕飯の食料を調達する。
二人分の食事を何店舗かのお店で購入し、最後のお店で支払いをしているとき、タカシから到着を知らせる電話があった。
その後すぐに合流。
そしてホテルへと向かった。
今回は前回のような恥ずかしさによるドキドキ感はない。
ただ人目を気にせずタカシと居られることが嬉しくて、そんな幸せなドキドキを感じながらホテルに入った。
一つになった後。
タカシに腕枕をしてもらいながいろんなことを話す。
毎回このスタイルなのだが、この温かい幸せな時間もまた大好きだった。
「そうそう、いつだったっけかな?去年の秋くらいだったかな。」
「なになに?」
タカシの大学院生活について話しているときだった。
「女の子と飲みに行くことがあってさ・・・」
え?
女の子と飲み・・・・?
タカシの腕の中で一瞬にして固まる。
「その時に”今からホテル行かない?”って誘われたよ。もちろん断ったけど(笑)。そしたらそのコ、しばらくしたら違う男と付き合ってた(笑)。」
ホテル・・・?
誘われた・・・?
何それ・・・
秋頃・・・?
知らない・・・
「・・・そうなんだ・・・」
一気に嫉妬の感情が襲ってきたが、なんとか冷静に努めた。
唯一言えた言葉がこれだった。
タカシは私に「断った」ってことを強調したかったのかもしれない。
「だから大丈夫だよ」って言いたかったのかもしれない。
誇らしげに話す様子からそう取れる。
けど私にはそうは受け止められなかった。
そもそもそんな話は知らない。
秋頃はもうデートをするような仲じゃなかったけど、会社で普通に話はしていた。
もちろん大学院の話だって聞いていた。
だけどそんなことは一切言ってなかった。
私との関係がなかった時、タカシは女の子から誘われてたんだ・・・
二人きりの飲み・・・
女の子から誘う・・・
私たちの始まりに似ている。
何もないからって安心はできなかった。
女の子と二人きりで飲みに行ったことに対する嫉妬、漠然とした不安。
さっきまで温かいと思っていた腕の中が急に冷たく感じた。