今シーズンのメインイベントとして、2月4日にくろがね小屋を予約して嫁さんと安達太良山にほんとの空を見に行った。

安達太良山は福島に位置する1699mの日本百名山である。

 

ほぼ1週間ヤマップの書き込み情報がない上に寒波到来とのことで、不安要素満載で木曜日の業務終了後に準備をして20時前に自宅を出発。

約700キロを9時間ほどかけて車で向かう。

途中2ストップして道の駅安達に到着。

しばし仮眠して7時に起床。

道の駅のモーニングセットを頂いてあだたら高原スキー場へ向かう。

ここまでそんなに降雪はなかったが、ここからはさすが東北地方という景色になる。

8時過ぎに到着。

平日なのでそれほど混んではいない。

くろがね小屋宿泊者専用の駐車場に停めて準備・・・。

と、ここで初めて二つのミスに気づく。

ひとつ目は登山靴。

雪山用として使っているものではなく、通常登山で使っているTX5を持ってきたこと。

二つ目は掛けておいたハードシェルを忘れてきたこと。

登山靴はしかたなく、ハードシェルは普段着で使ってるノースのジャケットで行くことに(幸いゴアなので最後まで問題はなかった)した。

 

登山届を提出し情けない想いを引きずりつつ9時前にスタート。

てんくらでは午前中はCだが、昼からはB予報、しかし予報に反して出だしから天気はすこぶる良い。

ミスはすっかり忘れていい天気にウキウキしつつ、しばしスキー場横の歩きやすい遊歩道を進む。

その後、旧道と馬車道に分かれるが、所々で合流と分岐をくり返す。

我々は登りが急になる旧道を進む。

トレースはしっかりついていてキックステップで十分対応できる。

とは言うもののずっとキックステップで進んでいるさすがに疲れるが、いい練習になる。

勢至平に出ると膝下までの雪になってきたのでワカンを装着。
分岐を見落としてしばしトレース側に間違って進んでしまったが、くろがね小屋方面にはトレースが無い。

リボンを追って進むが、かなりの急斜面のトラバースが続き神経を使う。

途中バックカントリーの人に先を譲って少し気が楽になったが、それでも所々で足元の雪ごと滑るので気が抜けない。

ようやく小屋が視界に現れ最後のトラバースが厳しくて、ここでアイゼンに変えてなんとか小屋に到着。

小屋には小屋番さんとBCの先行者さんのみ。

今日は3組のみらしく一部屋を貸し切りで使わせて頂ける。

ありがたい!!

天候はかなりホワイティになり、風も強くなってきたので、買ってきたおにぎりを食べてしばし思案して、行けるところまで行ってみよう(15時半をリミットと設定)と宿泊用具を置いて山頂へ向け出発。

小屋番さんからアイゼンよりワカン方が良いと勧めて頂きワカンでスタート。

かなり視界が悪くポールを目印に進むが、ワカンでも膝下ぐらいまで足が沈む。

もちろんトレースは無い。

残り500mぐらいの所でタイムリミットとなり残念ではあるが小屋に引き返す。

強風でトレースが消えやすく、暗くなってからの活動は危険度が増すので仕方ない。

小屋までもどり先ずは温泉に浸かり冷えた体を温める。

温めるには十分な泉質と温度で、この極寒の中で温泉に浸かれるとはホントありがたい!!

入浴後は小屋名物のカレーライスを頂く。

これぞ日本のザ・カレーライスといってもいいほど美味しくて具沢山!!

本日の宿泊は有名なクライマーさん(娘さんは超有名だそう)と、ペアの千葉の山岳会の方々と我々の5人のみ。

食後、小屋番さんに色々とサービスして頂き、皆さんからも貴重なお話しを聞かせて頂いた。

ホンモノの皆さんの話しは我々には高尚ではあるが、興味深いものだった。

因みにみなさんバックカントリーである。

疲れ果てて爆睡したかったが、さすがにシュラフとマットだけでは寒くてしょっちゅう目が覚める(現在はコロナ禍であり、寝具は各自持参である)。

宿泊する方はダウンパンツやインナーシュラフを持参することをおすすめします。

 

翌朝6時前に起きて朝食を頂き、準備をしてみなさんとお別れ。

ありがとうございました。

朝一は矢筈森のモルゲンロートが見れるほど快晴だったが、あっという間に白き世界になった。

昨日はワカンでも30〜40cmほど沈んだり、クラストしている所もあったので、ワカン+アイゼンのハイブリッドで挑む。

昨日登ってるのであまり不安はないが、途中まで千葉の山岳会の方々が先行してくれていたものの、途中で入れ替わるとやはり先頭はしんどい・・・。
なんとか尾根まで出たが、雪が舞い始めて風もメチャ強い。

山頂(乳首(ちちくび)と呼ばれているそうだ)直下まではすんなり行けたが、山頂への急登はワカンが邪魔で一旦外してアイゼンで登る。

なんとか登頂!!

吹雪の中でなんとか記念撮影をして直下まで下山。

登りより下りの方が怖い。

ワカンをはめ直すのが面倒くさかったのでアイゼンのみで下る。

下りは五葉松平側に下りる。

木々のないまるでスキー場のゲレンデのような下りである。

ワカンを外したために膝上ぐらいまで埋もれつつ下っていくと、徐々に体力が削られる。

木々が出てくると小ぶりのスノーモンスターが現れる。

ここから先は木々の中を進むが、踏み抜くと腰ぐらいまで埋もれるし、枝をかき分け進む箇所もある。
横着せずにワカンを装着すれば良かったと 後の祭り・・・。

とにかく時間がかかった。

途中2組のパーティとすれ違い情報交換したが、出会ったのはこの2パーティのみ。

幸い2組のトレースがあったから良かったが、リボンが少ないのでトレース無しではかなりルーファイが難しかった。

ようやく「この上の空がほんとの空」が現れ、さらに苦労しつつスキー場に着いた。

ここからやっと歩きやすくなり、CTから大幅に遅れて駐車場に戻り着いた。

登山後の車には20センチ程度の積雪があった。

 

さすがにそのまままた700キロは運転しては帰れないので、会津若松の東山温泉にある大江戸温泉で一泊した。

雪道を運転して17時に宿に到着。

ひとっ風呂浴びてからバイキングの夕食。

飲み放題でもありかなりリーズナブルだ。

ボイル蟹も食べ放題ではあるが、剥くのに時間がかかるし面倒くさい上に他にも美味しい食材が豊富なので、蟹はそこそこに様々なジャンルを頂き、育ち過ぎたお腹もはち切れんばかりに・・・。

もちろんハイボールも数杯頂いたが、食糧でお腹が一杯となりあまり飲めず・・・残念。

せっかく登山で消費したカロリーもいつものように太って帰るパータンとなった。

 

翌朝もバイキングの朝食でお腹いっぱい!!

9時前に出発して道の駅に寄る程度で家を目指す。

関西地方の降雪を心配していたが、とくに渋滞もなく18時に無事帰宅した。

今回はほんとの空は見れなかったが、ほんとの雪山を思い知らされた。

ラッセルとまではいかないが、膝上レベルを進むにはそれなりの技術と体力がないとキビシイ。

せめて絶景があれば良いのだが、白き世界では修行以外の何ものでもなかった(笑)。

無事に山頂が踏めたことと、山小屋のみなさんとの時間が楽しかった山行だった。

まぁ、こういった経験を積んでレベルが上がるのかな??