まだ夏の名残が抜けない10月

 
 
でも確実に季節は進んでいて
陽も短くなって
夕方の風は冷く肌寒かった
 
気づくと外は暗くなっていて
わたしもそろそろ失礼することにした
 
帰りの車の中で
ヒロくんはいつも通りだった
 
お母様の姿にはショックは受けたけど
お医者さんのヒロくんも
そんなに悲観してないようだ
 
1ヶ月
お見舞いに通うのは大変だろうけど
頑張って
という気持ちだった
 
 
 
車の中で
帰ってもらうべきか
上がってもらうべきかは悩んでた
 
 
行きはあんなに遠いと思ったのに
帰りはあっという間に着いてしまった
 
彼といるといつもそうだ
 
 
 
上がっていく?
 
 
彼は頷き車を駐めにいった
 
 
 
食事が摂れないと
他の人もお腹が空いていることに気づかない
 
 
もうこんな時間か、腹減ってない?
 
 
わたしは空いていなかったけれど
買いに行くのも面倒なので
家にあったインスタントのお味噌汁と
おにぎりを握って、卵を焼いた
 
 
悲しい顔されたくなくて
自分の分も作った
 
彼が食べている姿を見ながら
わたしも食べているふりをしていた
 
半年前までは
これが日常だったのに…
失ったものがあり過ぎる
 
また涙が出た 
 
 
何で泣いてるの?!
 
何でだろう…色々ね
 
色々か…
 
 
彼に触れたかった