『怪談』ラフカディオ・ハーン/南條竹則訳 | ななほん

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読書が好きなわたしの、日々の読書記録です。
お仕事では身体を、読書では頭もしっかり動かしたい。
文学が好きですが、ジャンルとらわれずまんべんなく読むようにしてます。
たまに映画。

 

 


全然怖くないな?というのが第一印象。

『怪談』部分の雪女やろくろ首などの妖怪や摩訶不思議な出来事は、わたしにとってはもう怖い話ではなくなっているけど、『昆虫』部分の特に『蟻』は、集団のために個を失くし規制されて、それに疑問を思うこともなく一生を終える蟻と、それを理想としいずれ人間もそうなるのでは...とする著者(とわたしは読み取った)はグロテスクで、『われら』を読んだ時のような薄気味悪さを感じたし、わたしにとっては一番怖い話でした。


『蟻』は人間社会に置き換えやすかったけど、実は他の物語も『本当は怖いグリム童話』みたいに何か別の怖いものを分かりやすい妖怪や摩訶不思議な出来事にのせて表現してるのかも、とは思うけど、正直もう一度読み直して確認するということは今はしないかなという感じですw


この本からはあまり感じられなかったけど、恨みとか呪いとか妬みとか、自分にも向けられる可能性のある現実的な悪意が妖怪や摩訶不思議な出来事の中に感じられたら怖いかもしれない。

 

何を持って「怖い」と判断するのか、「得体の知れないものは怖い」から始まり、でも何も知らなければ「怖い」と思いようもないよね、下手にちょっと知って知識があるから怖いのだと、この本のように単純に得体のしれないものや神秘的なもの、非現実的なものは、怖いという感情より厳かで敬虔な気持ちの方が強い気がします。


 

暑い日が続いてだらけるときは、涼しい家で読書が最高…となればいいけど、つられて読書もだらける、という不思議w