私がカウンセリングしていた人の話です。

その人は、いつもウソばかりついて、小さなウソを積み重ねて、大きな信頼を失っていきました。

彼が病気にかかったとき、彼の病室には誰もお見舞いに行きませんでした。

 

彼がなぜウソをつき続けるのか私は質問してみました。

彼は言いました。 

「裏切られるのが怖いから、自分が信頼されないようにしているんだよ。 誰にも信じられなければ、誰からも裏切られないと思っていたから。俺は一人で死にたい。 だから、もう来なくていいよ。」 

 

あるとき、彼のところに行ったら、小さな子供たちがたくさん彼のところに来ていました。

なぜだろう?と思ったら、その子たちは言いました。

「おにいさんはね、毎週日曜日に私たちのところに料理を作りに来てくれるんだよ。 凄く美味しいんだよ。 だから今日はそのお礼に、私たちがプレゼントをつくってきたんだ!」

 

彼は照れ笑いしながら言いました。

「ごめん、またウソをついたよ。 俺は一人では死にたくないや。 だから、いつも遊びに行っている施設に連絡したんだ。 人生でいちばん大事なことは、愛をどうやって外に出すか、 どうやって中に受け入れるか、その方法を学ぶことだったんだね。」

 

彼はそれから数ヵ月後に笑顔で旅立ちました。

大人たちに対して小さなウソをつきつづけていた彼は、誰も知らないところで、子供たちに本当の愛情を持って接していました。

 

彼が遺してくれた最後の言葉です。

「愛は人生を助けてくれる。 人を愛せば自分も愛される人間になれるんだね。」