山家集 上 春 第59、60 | 徒然名夢子

徒然名夢子

日々此々と過ごしけるに
東に音楽の美しきを聴けば、其処何処に赴き
西に優れたる書物のあると聞けば、其処何処に赴き
其処においても何処においても
心楽しからむことのみを願い生きることは
我の本心にほかならず

山家集 上 春 第59
 
玉葉一
 
7040 おぼつかな 何(いづれ)の山の 峯(みね)よりか
   またるる花の さき初(はじ)むらん

「おぼつかな」は「おぼつかなし」で、「もどかしい、気がかりだ」という意味。初句の「おぼつかな」は西行の独自のテンプレート。「し」を欠いているが句切れであり、歌全体への余韻に繋げている。
初句切れ、終句切れ。
 
歌意
 気がかりなのだ。どこかの山の峯から先に、心待ちしている花が咲き初めてしまうというのが。

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山家集 上 春 第60

7041 空(そら)にいでて 何處(いづく)ともなく 尋ねれば
   雲とは花の 見ゆる成(なり)けり
 
「空にいでて」は「当てもなく外に出て」の意味。「空」と「雲」は縁語で上句と下句が連動している。終句切れ。
 
歌意
 あてもなく外に出て、あちこちと訪ねれば、遠目には雲かと思ったが、よく見ると咲いた花だったのだな