ショパン ポロネーズ 第2番 変ホ短調 作品26 No.2 | 徒然名夢子

徒然名夢子

日々此々と過ごしけるに
東に音楽の美しきを聴けば、其処何処に赴き
西に優れたる書物のあると聞けば、其処何処に赴き
其処においても何処においても
心楽しからむことのみを願い生きることは
我の本心にほかならず

ショパン「二つのポロネーズ」作品26の第2曲。中間部にロ長調のポロネーズが挟まる。この第2曲も第1曲同様に、楽譜に指示が多い。

 

さて、演奏はイレーネ(アイリーン)・ヴィネツィアーノさん。2010年のショパン国際ピアノコンペティションの3rdステージでの演奏。ピアノはファッツィオリ(Fazioli)。2010年は波乱のコンペティションだったのだが、その中で、華やかなで奥行きのある音楽を奏でてていたコンテスタントの一人。イレーネは名前の通りイタリア人で、名前からヴェニス(ヴェネチア)に血統の出身地があることがわかる。2011年、ミラノのスカラ座でデビュー。

 

2010年ショパコンの三次予選では、この動画でもわかるように細かなミスタッチが多い。テンポも若干遅めではあるが、これはありえると思う。ポロネーズ特有のリズム、「ジャンジャカ、ジャンジャカ、ジャカジャカ」の処理はほぼ完璧だと思った。特にこの第2番では、「ジャンジャカ」の部分が「ジャ休ジャカ」と音のない空間があり、この間のとり方で、風景が変わる。日本の演歌などで、伴奏が先行して、歌手がやや遅れて旋律を歌うような、「間」である。この方法は、イタリア・オペラなどでは多用されていて、なじみ深いが、楽譜原理主義の人々にとってみれば、まったくもってけしからん、と感じられるだろう。

 

中間に展開部を持っているので、前半、後半は、もの悲しく感傷的な様相を演出していて、中間部の明るいメロディも、明るくなりすぎず、これから楽しい未来が来るかも知れないが、それも不安だというような印象を与えている。

 

この楽曲だけ聴くと、ちょっとファイナルには行けないかな、と思った。日本人のレポーターの間でもイリーナの評価は真っ二つにわかれていた。現地では、彼女の音楽は好意的に受け取られていた。しかし、同じ日に、優勝者のユリアナ・アヴディエヴァが居て、調子を上げてきての三次予選で、極めて濃厚かつ圧倒的な演奏をしてしまっていたので、若干イレーネの演奏が、霞んでしまったのは不幸だった。

 

イレーネは現在、イタリアやロンドンでピアノ教師としてマスタースクールを開講するなど、活躍している。時にリサイタルや、大きなコンサートでも演奏しており、もともと備えていた表現力と優雅さは健在である。