アルフレッド・ブレンデルによる演奏
モーツァルトのピアノソナタで短調はこの第14番と第8番K.310のみ。特にこの第14番は、知らないで聞くと、ベートーベンの曲か?と思ってしまう。若いベートーベンはこの第14番を聞き、自分のスタイルへと昇華させていった。
モーツァルトの楽曲パターンとして、ポリフォニーとロココ様式にある。ポリフォニーとは複数の旋律(声部)で音楽が構築されているもの。複数の声部で和声(和音)を構築するものをホモフォニーと呼ぶ。一つの声部で構築されているものをモノフォニーと呼ぶ。
さて、モーツァルトだが1756年ザルツブルグで生まれ、1791年ヴィーンで死去(35歳)。3歳でチェンバロを演奏し、5歳で作曲を行うなど神童そのものだ。それにしても作曲した楽曲の数が膨大だ。多くの作曲家が一つのテーマ(主題)をベースに肉付けしていくような物語を描くのに対して、モーツァルトは一つの楽曲の中に様々なテーマが折り重なるような華麗な物語となっている。楽曲間のテーマの類似性なども見てとれるが、この時代のすべてのテーマをモーツァルト一人で作り上げたといっても過言ではないだろう。
新古典主義音楽の時代になって、モーツァルトが再評価され、ポリフォニーや異なる声部の交換といった手法が広く採用されている。メンデルスゾーンの無言歌集でも、2つの声部で異なる旋律を描きながら、ある時は高音部、ある時は低音部で旋律交差による表現がなされているものもある。シューマンのロマンスにおいては、4声で高音部と低音部が伴奏、中音部を右手と左手でポリフォニーの旋律を演奏する、といった様式につながっていく。
下の音源はシューマンの「3つのロマンス」作品28 の第2曲。
中学時代の恩師はモーツアルトが大好きで、「どのピアニストもモーツァルトに回帰する」というのが口癖だった。しかし、僕はモーツァルトのピアノ曲はとても苦手で、当時はノンレガート奏法の習得に苦労していたからかもしれない。少し、モーツァルトを弾き込んでみようかな。