休憩中である。今夜のスタジオ入りは、1時間ほど早かったので、スタッフさんに事前に電話を入れて、買っていくものなどを聞いたところ、T先生が見学に来ていることを聞いたので、適当なスイーツ屋でショートケーキを20個ばかり買って持って行った。ショーケースのトレー全部なくなったので、なんとなく気持ちが高揚した。ま、領収書はしっかりもらったけどね。
さて、ケーキの差し入れはやはり若い人には喜ばれる。意外と脳みそ使うんだよね。T先生は初対面だったので、丁寧にごあいさつ。T先生はマスターから僕のことを聞かされていたようで、僕が中学生の時に参加した全音コンペの中部地区大会で、名古屋会場で会った時のことを覚えているかと聞かれた。T先生は高校生だったはずなので、よく覚えていないというと、「私はね、とってもすごく覚えているの、だって坊主頭だったでしょう?」。はい、確かにそうでした。坊主でした。しかも学生服ではなく、金色のブレザーに白いパンツでした。今思うと恥ずかしい。T先生は中部地区で優勝し、全国まで進んで、確か銀賞だったような記憶がある。僕は、残念ながら上に抜けられず、名古屋どまり。失意の中、一人で新幹線で帰った覚えがある。母親が作ってくれた金色のブレザーが敗因だと今でも思っている。
T先生が、「気になる学生がいるか?」と聞いてきたが、ひいき発言はしたくなかったので、「皆それぞれに長所短所があります。それらを受け入れるという意味で、みなそれぞれ気になります」。なんと素晴らしい優等生な答えでしょう。自分でもびっくりしました。「あれ?そんなキャラだったかしら?」。T先生、あなたは僕のどこまでをご存じなのでしょうか?と思ってT先生の顔をみたらニヤニヤしていて、気が付きました。音大のゼミの先生と同級生だったことを。そこからも情報行っているのか...
閑話休題、T先生とワルツのリズム(特にショパンの)について話をしたというか、教えてもらった。実は、僕のワルツのリズム感というのは頭で理解した表現でしかなかったのだが、社会人になってスイス旅行した際にバーゼルなどに流れるライン川のうごめきを目の当たりにして、音楽的興奮を感じてから、ころりと変わった。あまりの衝撃に友人たちと離れて川の橋の上で、山間部で雨でも降ったのか、川幅からあふれんばかりの水がゆらりゆらりとうごめきながら下流へとゆっくりむかっていく。その様を眺めていると、頭の中を様々なワルツが鳴っていた。(そうか、ワルツって自然の営みのリズムなのか)と理解した。これまではアシュケナージの理知的な演奏が好きだったのだが、この旅行以降はまず、アルゲリッチの若いころのワルツを聴き始めた。それで、T先生に「僕のワルツは川のワルツです。」というと、「あら、そうなの?私もそう思うわよ。セーヌ川とか」。確かにパリも2度ほど訪れたが、セーヌ川は最高にセクシーだった。T先生がゲストを見てくれている間にブログを書いている。
動画は、2010のショパコン、ドミトリ・シーシキンのワルツ ヘ長調作品34の3.軽やかに舞う音楽が、まるで噴水のようだ。薄くならないような骨太さもあり、濃淡とダンパーペダルの効果的な使い方。満点でしょう。