ポロネーズ | 徒然名夢子

徒然名夢子

日々此々と過ごしけるに
東に音楽の美しきを聴けば、其処何処に赴き
西に優れたる書物のあると聞けば、其処何処に赴き
其処においても何処においても
心楽しからむことのみを願い生きることは
我の本心にほかならず

昨日「英雄ポロネーズ」のことを書いてから、少し考えることがあってスケルツォ第4番の楽譜を眺めつつ、頭の片隅で、ポロネーズと題された楽曲を記憶の中から少し呼び起こした。J.S.バッハのフランス組曲やブランデンブルク協奏曲、シューベルトなどを思い出した。「ポロネーズ」はフランス語で「ポーランド風」という意味だ。3/4拍子で、マズルカと同じ舞曲のことである。ただし、本来のポロネーズは比較的ゆっくりな民族舞踊で、一時期(16世紀後半)にヨーロッパ中で広まった。広まったのは、各国の王がポーランド王を兼任するといった政治情勢があり、その際経済交流とともに文化交流も行われたからだ。

 

さて、そういった背景のもとショパンのポロネーズを見ると、リズムは「タン・タタ・タン・タン・タン・タン」で曲の最後は弱拍の女性終止。

 

さて、辻井伸之さんの「英雄ポロネーズ」を見てみよう。

この人の素晴らしいところは、鳴らす音一つ一つがクリアで、汚れの全くない書き上げたばかりの絵画を見ているような気持ちにさせてくれるところだ。それにこのポロネーズがとてもやさしい。覚えたのはパデレフスキ版の楽譜ではないかと思うが、運指がほぼ正しい。彼の持ち味である指関節の柔らかさが十分に生かされ、それに反して音の鋭さ、強さが発揮されている。これも手首を鍵盤に平行に位置しひじ関節で支持することで余分な力が指に伝達しないようにコントロールしているからだと思う。ミスタッチもあるが、まったく気にならない。正しくミスしているから。さて、彼の演奏術に似た人を上げるとすれば2010年のショパコン優勝者のユリエアンナ・アヴデーエバさんだろうか。

 

「英雄ポロネーズ」はショパン自身が名付けたわけではない、この曲の持つ高揚感や躍動感が後年の人々によってそのように表現されたのであろう。僕自身はかつてヨーロッパ中で愛されたポロネーズ舞踊を持つ母国ポーランドがいかに素晴らしいか、美しい国かを表現したかったのだろうと思う。中間部はまるで蒸気機関車が走る近代化されたポーランドの栄光が訪れているようにも聞こえる。このような近代化されたオブジェクトに対しても音楽表現を行うところがロマン派の特徴でもある。絵画的にはモダン派といったところか。

 

ロマン派のピアノ楽曲は、基本的に歌や詩が内包されてい、歌を歌っているわけではなく、いわゆる「無言歌」のが曲である。不協和音をいとわない、表紙のずれも問題ないとして、音楽をつくる演奏者側はまさに苦行に等しい。

 

それにしても辻井さんの「どろろ「:の流合の良さは絶品だ。