片岡(かたおか)にしば移(うつ)りしてなく雉子(きぎす)
たつ羽音(はおと)とてたかからぬかは
片岡とはある方向だけになだらかになった丘状の土地をさす。「しば移り」とは、あちこちと頻繁に移動を繰り返すこと。終句の「かは」は反語。
歌意
なだらかな片岡をしきりに移りながら鳴く雉子の
飛び立つ羽音は高いはずだ
折句
かしなたた
にてすては
ちょっとしたタングラムだ。
冠には「たかし」、沓には「果て」「既に」が含まれる。
(雉子の)高い鳴き声は、(命が)既に果てていくようだ。
まぁこれは考えすぎの解釈だが、必死に鳴く雄の雉の「ケーン」という高い声が、悲鳴にも似て辛い憂き世を思い出させたに違いない。