今回の法語です。  58枚+\10



『 誕生日というのは、


  自分が祝ったり、


  祝れたりする日ではありません。


  お母さんに感謝する日です。


  母と食事するなり、


  いなければお墓に行くなり、


  母を考えて過ごす日です。


       映画評論家 淀川長治  』




 映画評論家の淀川長治氏(1998年寂、行年90歳)、作家の永六輔氏(77)、イラストレーターの和田誠氏(74)、歌手のさだまさし氏(58)。4人とも誕生日が同じ4月10日というつながりがあって、ある年の誕生日、永氏らは最年長の淀川氏を食事に招待しようとしたそうです。



 ところが、「私は母と一緒に過ごします。誕生日というのは、自分が祝ったり祝われたりする日ではありません。お母さんに感謝する日です。母と食事するなり、いなければお墓に行くなり、母を考えて過ごす日です。」と淀川氏に断られたことを、永氏が著書『親と子(岩波新書)』の中で紹介しています。それ以来、他の3人も淀川さんの言葉に従っているそうです。



 自分の誕生日は、母親が陣痛に耐えて自分を産んでくれた日です。だから、自分を産んでくれた母親に感謝する日なのです。


 また逆に、子供の誕生日は、自分が親になった日、親としての誕生日でもある訳で、だから、自分のところに生まれてくれた子供に感謝する日でもあるのです。




○ この淀川長治さんの言葉は、初め昨年2009年の5月の母の日の週に掲示したのですが、それを読んで実践した方がいるのです。ウチのお寺の御檀家さんの娘さんなのですが、今年の2月3日のご自身の誕生日にお母様にお花を贈ったのです。「私を生んでくれてありがとう」というメッセージカードが添えてあったそうです。その話を伺った時はお父様もいましたが、「お互い男親は寂しいもんですなぁ。母親には敵いませんね」と慰め合いました。このような話を聞くと本当に嬉しく、やって良かったと思いました。今まで同じ言葉を掲示したことは無かったのですが、今月の第2週目は、またこの言葉を掲示しました。当分この5月の母の日の期間は、この淀川さんの言葉を掲示しようと思っています。